ヒトヒフバエ

生きた人間にウジ虫が湧きゾンビ化… 奇病「ミアシス」の恐怖を亜留間次郎が解説
(画像=ヒトフエバエ(画像は「Getty Images」より)、『TOCANA』より引用)

学名のDermatobia hominisはギリシャ語の皮膚(δέρμα)+命(βίος)+ラテン語で人間を意味するhominisの合成語です、そこから和名ではヒトヒフバエと呼ばれています。

この蝿は本来の寄生対象は人間ではないのですが、少し面倒な移動をします。

メスの蝿は蚊やダニなどの吸血昆虫の体の表面に卵を産み付けしばらくすると孵化して張り付いています。

蚊やダニが人間の血を吸うと吸血された場所に移動して刺された場所から皮膚の中に入り込んで5~10週間かけて15mmぐらいまで大きくなると皮膚から這い出して地面に落ちてサナギになります。

アメリカ南部にメキシコから中南米に生息していて、アメリカ疾病予防管理センターも警告しています。

詳しいことはアメリカ疾病予防管理センター(CDC)のホームページにも乗っています。

ラセンウジバエ

こちらは傷口や粘膜に卵を産み付けるタイプなので露出したまま歩き回らなければ平気です。

本来は中南米の生き物でしたが現在は世界中で見つかっています。

ラセンウジバエ(screw-worm fly)という俗名がついていますがラセンウジとは傷口に産み付けられた卵が孵化するとウジ虫が傷口から体内にねじこまれていくためです。

人間が食われた症例は少なく、基本的に被害に遭っているのは家畜ですが、家畜が死ぬ原因になっているので、アメリカでは徹底的に駆除対象になっています。

コイツの怖いところは粘膜に卵を産み付ける性質から口の中にウジがわく口腔蝿蛆症の原因になっています。

口腔蝿蛆症の分布を見ると先進国ではめったに居ないのに公衆衛生の悪い後進国にはよく居ます。

インドやブラジルでは口を開けて寝ていると口の中にラセンウジバエが卵を産み付けることがあります。

インド:39%
ブラジル:33%
パキスタン:18%
西アフリカ:3%
その他:7%

さらに嫌なことに上の口だけではなく下の口にウジがわくことがあります。

医学的には外陰部蝿蛆症(Vulvar myiasis)と呼ばれている女性のアソコにウジ虫がわく病気です。

2009年にトルコで症例報告された31歳の既婚女性の例では女性の股間に居たのはラセンウジバエだと同定されています。

生きた人間にウジ虫が湧きゾンビ化… 奇病「ミアシス」の恐怖を亜留間次郎が解説
(画像=画像は「Getty Images」より、『TOCANA』より引用)

この人は股間からウジ虫が落ちてきて初めて病院にきたようです。

なんで隠している股間に卵を産み付けられたのか不思議に思うかもしれませんが、原因は生理用品です。

使い捨ての生理用品がないため、布をナプキンとして使い、血で汚れた布を何度も洗いますが、洗剤も良いものがなく、綺麗には落ちません。

この血で汚れたナプキンの布に卵を産み付けられたのが原因でした。

使い捨てが当たり前の先進国の人間には想像も出来ない理由だったのです。