Fluffy Ketだからできるユニークなお世話

ーー先日、実施された「ベビーシッター体験会」について教えてください。

伊藤:親御さんは、ベビーシッターに大切なお子さんとご自宅の鍵を預ける必要があり、最初はとても敷居を高く感じるはずです。キャストが子どもたちと一緒にいるところをご覧いただいたり、実際に交流したりすることで信頼を得られるのではないかと考えて行いました。今後も定期的に私たちのサービスを紹介するために行っていきたいので、5月末から体験会を開催するための資金を集めるクラウドファンディングを行っています。

ーー提供可能なサービスとして、子役として活動するお子さんの送迎や、撮影現場や楽屋、ロケ地でのサポートがありますが、とてもユニークですね。

伊藤:わたしも、1人で電車に乗ることが怖かったし、地方ロケがあると東京駅までは母が送ってくれるんですけど、マネージャーさんが合流してくれるまでは1人で、とても不安でした。今思えば、母はもっと不安だったはず(笑)。現場を知っているキャストなら協力できることは多く、オーディションやレッスンの付き添いも、具体的で詳細な報告ができるので、ぜひ活用していただきたいです。こちらからご提案はしていませんが、「台本を一緒に読むサポートは出来ますか?」とお問い合わせをいただくこともあります。

ーー利用者さんからは、どんなフィードバックがありますか?

伊藤:音読が苦手だというお子さんがいらっしゃって、音読のテストに一緒に取り組んでもらいたいというお話がありました。キャストが一緒に図書館で本を選ぶところから始めて、音読の練習をして差し上げたところ、そのお子さんはテストで学年1位になられたそうです!これは私たちができるサポートに意義があったと感じられる、本当に嬉しい出来事でした……!

ベビーシッターだからできないことも……

ーーシッターとしてこれまで困った経験はありますか?

伊藤:いろいろありますよ(笑)。やっぱり2人、3人のお子様をお預かりすると、シッター1人では手に負えなくなるようなことや、兄弟・姉妹でケンカが始まることも……。ベビーシッターは保育指針として、否定的な言葉を使うことは良しとされていません。だから、ケンカから気をそらせようと「先生悲しいよ」と泣く演技をしたことも(笑)。あと、お宅にうかがって「お世話するスペースがないぞ……」という場合も。さまざまなご家庭があって、それぞれご事情があるので仕方ないことですが、私たちは家事代行ではないので、お片付けをして差し上げられないんです。

ーーそんな時はどう対応されるんですか?

伊藤:近くの児童館や、公園などのパブリック・スペースに移動してお世話をします。訪問する際には必ずご自宅周辺を調べて、そういう公共の場を把握するのもシッターの仕事のひとつです。親御さんには事前に、こういった対応を取ることがあるとお伝えします。それから、ちょっと変わった折り紙の折り方を覚えておいたり、100円ショップで買えるようなオモチャを持参することもあります。そういう小さな工夫や準備がお子さんの笑顔につながります。

ーー責任も大きく、判断力も求められることは大変ですが、人を笑顔にできるお仕事ですね。

伊藤:そうなんです!一緒に会社を立ち上げた合田も、ベビーシッターをしながらナレーターとして活動しています。この楽しさや喜びを知る2人でなら、チャレンジできると思って「起業してみない!?」と誘ったことが、Fluffy Ketの始まりです。

ーー起業にあたって、ご苦労はありましたか?

伊藤:会社の登記などの難しい手続きは手探りでした。会社をどうやって立ち上げるのか、オフィスをどこに置くか・口座開設……なにもわからない状態で一つひとつネットやYouTubeで調べながら進めていきました。会社勤めの経験もないので、目上の方に送るメールにうっかり絵文字を使ってしまったり……。大変でしたが、こんな私たちにも会社を興すことができたので、想いやアイディアがある方はあきらめずにチャレンジしてほしいです。


インタビュイー・プロフィール

伊藤梨沙子(いとう・りさこ)

株式会社Fluffy Ket代表取締役社長

1996年生まれ27歳。10歳から芸能活動を始める。19歳からベビーシッターとしても活動。

2023年4月に株式会社Fluffy Ketを友人である合田友と起業。自身のスキルを活かし子どもたちを笑顔にするベビーシッターサービス「子ども・子育て支援×エンタメ」の確立を目指す。

代表的な芸能活動は『おはすた』おはガール、雑誌『ピチレモン』専属モデル、NHK Eテレ『さんすう犬ワン』、TBS日曜劇場『アトムの童』などに出演。

<所持資格>

JADP認定ベビーシッター・ACSAベビーシッター養成+現任研修修了・救命技能認定証取得