初代ドブロは2000年に誕生
さてここからは、今回の話の主役・ドブロについて歴史を振り帰ってみたい。
日本で発売されたドブロは3代目にあたるが、前述のように基本的にはプジョー・シトロエン開発のクルマである。ところが、初代と2代目は、純然たるフィアットのクルマだったことが決定的に異なるポイントだ。
初代ドブロは、カングー、ベルランゴなどと同じく、FF乗用車の車体後半を箱型にした商用バン「フルゴネット」の一員として2000年に誕生した。ドブロの前身的なモデルは、「フィアット・ウーノ」に箱を背負わせた「2代目フィオリーノ」で、カングーの前身が「ルノー・サンク」ベースの「エクスプレス」、ベルランゴの前身が「シトロエン・ヴィザ」ベースの「C15」と同じ成り立ちなのは興味深い。なお初代ドブロのプラットフォームは、フィアットの新興国向けハッチバック「ストラーダ」を使用していた。


モールで2分割されたような灯火類とグリル、大きく面積をとったフロントとフロントドアの窓、2本足のドアミラーなど、初代ドブロは商用車ながらもデザイン的な手抜きは一切見られず、イタリア車らしい個性にあふれていた。ライバルのカングー・ベルランゴと同じく、乗用モデルも「パノラマ」という名称で設定されていた。製造は1960年代末からフィアットのノックダウン生産を行っていたトルコの「トファシュ(TOFAŞ)」が担当したほか、ブラジルやロシア、ベトナムなどでも生産が行われた。


2005年にフェイスリフトを受けた初代ドブロ
そんな初代ドブロだったが、いささかその表情は奇抜すぎたためか、2005年には大きめのフェイスリフトを行って常識的なマスクに変更された。小型車作りに長けたフィアットが手がけた小型バンだけにもともとの素地が良いこともあり、2006年には「インターナショナル・バン・オブ・ザ・イヤー」を受賞している。


