初代ドブロは2000年に誕生

さてここからは、今回の話の主役・ドブロについて歴史を振り帰ってみたい。

日本で発売されたドブロは3代目にあたるが、前述のように基本的にはプジョー・シトロエン開発のクルマである。ところが、初代と2代目は、純然たるフィアットのクルマだったことが決定的に異なるポイントだ。

初代ドブロは、カングー、ベルランゴなどと同じく、FF乗用車の車体後半を箱型にした商用バン「フルゴネット」の一員として2000年に誕生した。ドブロの前身的なモデルは、「フィアット・ウーノ」に箱を背負わせた「2代目フィオリーノ」で、カングーの前身が「ルノー・サンク」ベースの「エクスプレス」、ベルランゴの前身が「シトロエン・ヴィザ」ベースの「C15」と同じ成り立ちなのは興味深い。なお初代ドブロのプラットフォームは、フィアットの新興国向けハッチバック「ストラーダ」を使用していた。

【ニューモデル情報通】Vol.14 「フィアット・ドブロ」日本導入記念! その兄弟車たちとドブロの歴史を掘り下げる
(画像=ドブロの前身である「2代目フィオリーノ」。まさにフィアット・ウーノの後部に箱を背負った「フルゴネット」なのがわかる。、『CARSMEET WEB』より引用)
【ニューモデル情報通】Vol.14 「フィアット・ドブロ」日本導入記念! その兄弟車たちとドブロの歴史を掘り下げる
(画像=奇抜なフロントマスクを持つ初代ドブロ。リアのスライドドア採用などにより、フィオリーノよりも大幅に積載性・利便性が増していた。写真は、その乗用モデル「パノラマ」。パノラマという名称は、前身である「フィオリーノ」から引き継いでいた。、『CARSMEET WEB』より引用)

モールで2分割されたような灯火類とグリル、大きく面積をとったフロントとフロントドアの窓、2本足のドアミラーなど、初代ドブロは商用車ながらもデザイン的な手抜きは一切見られず、イタリア車らしい個性にあふれていた。ライバルのカングー・ベルランゴと同じく、乗用モデルも「パノラマ」という名称で設定されていた。製造は1960年代末からフィアットのノックダウン生産を行っていたトルコの「トファシュ(TOFAŞ)」が担当したほか、ブラジルやロシア、ベトナムなどでも生産が行われた。

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(画像=初代ドブロのバン仕様「カーゴ」。2000年登場とは思えない斬新さがある。エンジンは1.2L ガソリン、1.9Lディーゼルなど多種多様だった。、『CARSMEET WEB』より引用)
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(画像=初代ドブロのラインナップ。純然たる商用バン、乗用モデルのほかに、貨客兼用の「カーゴコンビ」などもあった。、『CARSMEET WEB』より引用)

2005年にフェイスリフトを受けた初代ドブロ

そんな初代ドブロだったが、いささかその表情は奇抜すぎたためか、2005年には大きめのフェイスリフトを行って常識的なマスクに変更された。小型車作りに長けたフィアットが手がけた小型バンだけにもともとの素地が良いこともあり、2006年には「インターナショナル・バン・オブ・ザ・イヤー」を受賞している。

【ニューモデル情報通】Vol.14 「フィアット・ドブロ」日本導入記念! その兄弟車たちとドブロの歴史を掘り下げる
(画像=『CARSMEET WEB』より引用)
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(画像=常識的な顔になった、初代後期型ドブロ。それでも大きな面積の黒いバンパーモールは残されており、商用車らしい印象を残していた。フロント部の変更により、全長は10cmほど伸びて約4.25mに。エンジンラインナップの見直しも行われ、ディーゼルはマルチジェットに進化している。、『CARSMEET WEB』より引用)
【ニューモデル情報通】Vol.14 「フィアット・ドブロ」日本導入記念! その兄弟車たちとドブロの歴史を掘り下げる
(画像=全長が380mmも伸ばされた「ドブロ・マキシ」。延長部の処理の巧みさには感嘆する。、『CARSMEET WEB』より引用)