しかし、一時的に出生数は反転したとしても、2033年に98.7万人とピークを付け、長期的に見れば少子化していくこととなり、2120年には73.6万人と2022年の77万747人を下回る。
その結果、総人口の推移をみても、人口減少には歯止めがかからないことが確認できる。

図5 合計特殊出生率が1.80に回復した場合の総人口の動き(単位:百万人)出典:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計)」
つまり、合計特殊出生率がスウェーデンやフランス並みになっても少子化は緩和されるかもしれないが、長期的な出生増へと反転し続けることはない。
少子化対策は時間稼ぎ以上のように、残念ながら、日本の少子化を確実に反転させる術は存在しない。
現役世代が減り続ける中で、経済・社会を維持し、高齢者を支えていくためには、人口減少を受け入れ、それを前提としても持続可能な経済・社会への変革こそが急務だ。少子化対策はそのための時間稼ぎでしかないのだ。
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