復帰の可能性
過去の歌舞伎俳優の不祥事をあげれば枚挙に暇はない。十三代目・市川團十郎は「市川海老蔵」時代の2010年、反社会的勢力の男性とバーでケンカになり暴行を受けて大怪我をするという事件を起こし、昨年3月発売の「セブン」では、コロナ禍のまん延防止等重点措置下にSNSを使って複数の女性にアプローチしデートしていたと報じられた。05年には二代目・中村七之助が泥酔状態で警察官を殴ったとして公務執行妨害で逮捕されたが、七之助に大量の酒を飲ませたのも海老蔵ではないかといわれている。
中村芝翫にいたっては、16年と21年1月、12月の3度にわたり不倫が報じられ、六代目・片岡愛之助は11年2月発売の「セブン」報道によって、元ホステスとの間に隠し子が存在することが明らかに。隠し子といえば、市川團十郎や十代目・松本幸四郎も過去にその存在が報じられて事実を認めている。さらに、人間国宝に認定されている重鎮、十五代目・片岡仁左衛門も昨年11月発売の「週刊文春」(文藝春秋)で不倫を報じられていた。
そして上記に挙げた俳優たちは、今もなお舞台に立ち続けている。
「歌舞伎界俳優にとって不倫や隠し子がいるという程度のことは伝統みたいなもので、問題視されるほどのことではない。ただ、猿之助の件は人の死が絡んでおり、また一門という組織のなかでのハラスメント行為だけに、過去の歌舞伎俳優の個人的なスキャンダルとは性格が異なる。いくら歌舞伎界が不祥事に甘いとはいえ、簡単に復帰というわけにはいかないだろう。ただ、もし仮に猿之助が両親の死をめぐり法律的に潔白だということになれば、歌舞伎界にとって猿之助の舞台復帰ほどインパクトが強いイベントはないだろうし、猿之助と親しい俳優、そして歌舞伎ファンもそれを強く望んでいるだろう」(同)