RA301とRA302の明暗を分けた「ルーアンの悲劇」

オーバーヒートどころではなかったRA302

ついに現れた「ホンドーラ」の本命「RA301」!第1期ホンダF1最強マシンが未勝利に終わった理由【推し車】
(画像=RA302を駆るジョン・シュレッサー…フランスGPにおける「ルーアンの悲劇」直前の姿、『MOBY』より 引用)

フランスGPはスタート直後から雨に見舞われたものの、いよいよ熟成進んだサーティースのRA301は予選こそ7位だったものの決勝序盤は4位といい位置につけます。

しかしシュレッサーのRA302は3周目、中村氏からのアドバイス通りにペースを抑えていたにも関わらず突如コントロールを失ってクラッシュし爆発炎上、軽量化のためマグネシウム合金を多用したボディはあっという間に焼け落ち、シュレッサーは帰らぬ人となりました。

「ルーアンの悲劇」と後世まで語り継がれるホンダF1最悪の日でしたが、続行されたレースでシュレッサーはキッチリ仕事を成し遂げ、フェラーリのジャッキー・イクスに次ぐ2位でフィニッシュ。

RA301は最高の結果を残したが…

ついに現れた「ホンドーラ」の本命「RA301」!第1期ホンダF1最強マシンが未勝利に終わった理由【推し車】
(画像=同じフランスGPでサーティースは2位表彰台の結果を残し、RA301が間違いではなかったと証明した、『MOBY』より 引用)

これでRA301の方向性が間違っていなかったこと、RA302は根本的なところから理屈を無視したワケのわからないマシンであり、出走したこと自体間違っていたと証明されたものの全ては後の祭り、第1期ホンダF1における拭えない汚点となりました。

驚いたことに、悲報を聞いた本田 宗一郎はなおも意気軒昂、空冷が悪かったのではないとRA302の開発を続行させます。

再び担当者は出社拒否して旅に出てしまいますし、改良型RA302を送られたヨーロッパでも一応イタリアGPのプラクティス(フリー走行)で走らせたものの、「それなりに走る。エンジンがオーバーヒートするまでは」では、予選や決勝を走ることもなく終わりました。

本田 宗一郎の空冷信奉による暴走は、最終的に市販車のホンダ1300(1969年)が大失敗、初代ライフや初代シビックが水冷エンジンで大成功する陰で、「技術者・本田 宗一郎の失脚」(社長業への専念)という結果をもたらします。

しかし、もっともワリを食ったのは引き続きホンダF1の主力として走り続けたRA301でした。

空力など改良を続けるも、結局未勝利に終わったRA301

ついに現れた「ホンドーラ」の本命「RA301」!第1期ホンダF1最強マシンが未勝利に終わった理由【推し車】
(画像=期待されつつ海を超えた思惑の交差に翻弄された無冠の帝王RA301、存分に走れたらどんな結果を残しただろうか?、『MOBY』より 引用)

フランスGPでサーティースが2位表彰台、RA302とは対象的に結果を残したRA301は、次戦イギリスGPでハイマウントのリアウイングを装着、支柱の強度不足で34周目にウイングがモゲるトラブルはあったものの5位入賞。

ドイツGPはアクシデントでリタイア、イタリアGPでは決勝こそクラッシュでリタイアしたものの予選トップでポールポジションを獲得、カナダGPを経てアメリカGPでは3位表彰台。

最終戦メキシコGPではサーティースこそリタイヤしたものの、自身のマシンを壊してホンダからスペアのRA301を借りたヤキム・ボニエが5位入賞と、ハマればなかなかの好成績。

前述のリアウイングのほか、メキシコGPではノーズフィン装着など空力を改善します。

結果的にはシリーズチャンピオンを狙うどころかコンストラクターズ6位、サーティースのドライバーズランキングも8位に沈んでしまい、「RA302なんて作らずRA301に注力していれば、あるいは…」と悔やまれる結果だけが残りました。

結局ホンダは本業の市販車で販売不振対策や排ガス規制対策に忙しいため、としてF1参戦を(撤退ではなく)「一時休止」と表明、本領発揮は第2期に持ち越され、RA301は期待の大きさとは裏腹に「無冠の最強マシン」と呼ばれることとなります。

※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。

文・MOBY編集部/提供元・MOBY

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