知っておきたい「経費」を使った節税テクニック
前述の通り、経費を増やすことは節税に繋がります。ここでは知っておきたい「経費」を使った節税テクニックについて紹介します。
家賃・水道光熱費・通信費を経費にする
自宅を事務所として使用している場合や自宅の一部を事務所として使用した場合、その部分の家賃や水道光熱費などが経費に計上できます。ただし、その場合は、自宅を事務所として使用していることを税務署に届け出る必要があります。
通信費についても、自宅での作業時間の割合を調べて、事業に必要な通信費を算出し、経費に計上できます。
車を経費にする
車を事業で使用している場合、その車の維持費やガソリン代などを経費に計上できます。ただし、私用と事業用の使用時間を明確に区別し、事業用として使用した場合のみ経費に計上できます。
減価償却を活用する
事業で使用する資産(パソコンや機械など)は、その資産の寿命に応じて減価償却をできます。減価償却により、事業の利益を減らすことができるため、節税効果があります。ただし、減価償却には細かいルールがあるため、不明点は税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
慶弔見舞金、災害見舞金を経費にする
取引先や従業員に対する慶弔見舞金や災害見舞金は、事業活動に必要かつ高額でない場合に限り、経費に計上できます。
短期前払費用の特例を駆使する
「短期前払費用の特例」とは、前払費用のうち1年以内に役務提供を受けるもので、重要性の乏しいものについて、支払った事業年度に一括で費用計上ができるという特例です。
例えば業務上レンタルしているサーバ利用料を1年分前払いした場合、本来であれば分割して月々の費用として計上しなくてはいけませんが、予想より利益が出た事業年度などに短期前払費用の特例を駆使すれば、利益を圧縮し節税することが可能です。
経費を計上するときの注意点
個人事業主が経費として計上する場合、自宅で事業を営む場合の家事按分や領収書の保管、「何でもかんでも経費にする」といった行動に気を付けましょう。
自宅で事業を営む場合の家事按分
自宅で事業を営む場合、家事と事業に使われる光熱費などの費用を、事業用と家庭用に分けることが必要になります。この分け方を家事按分といい、必要経費の一つとなります。具体的には、部屋の広さに応じて光熱費を分けたり、家庭用と事業用で分けられない物品については、家庭用と事業用の使用時間などに応じて按分することが一般的です。
按分せず一括して経費として計上しても、税務署から経費として認められず、結果として追徴課税が科せられるケースもあるので気を付けましょう。
領収書の保管
経費を計上するには、必要な領収書を保管することが必要です。領収書は、消費税の還付申請や確定申告などのときにも必要になります。また、領収書は原則としてオリジナルを保管する必要があります。
紛失したときは再発行が不可能な場合もありますので、大切に保管するよう注意しましょう。
「何でもかんでも経費にする」のは禁物
事業用と家庭用を分けるときに、事業用として計上できるかどうか悩むこともあるかもしれません。しかし、個人事業主は自己申告制度が採用されているため、誤った計上を行うと税務署から指摘されたときは、その経費は課税対象となり修正申告が必要となります。また、不正な経費計上や申告漏れと判断された場合には、罰則が課せられる可能性があります 。そのため、「何でもかんでも経費にしてしまう」ことは避けるべきでしょう。