ツイート投稿者を「いきなり提訴」した世耕議員を裁判所が批判、名誉毀損訴訟が異例の和解

自民党の世耕弘成参院議員に関するツイートをめぐり、名誉毀損で訴えられた青山学院大・中野昌宏教授が反訴していた訴訟は2023年3月17日、東京地裁(古田孝夫裁判長)で和解が成立した。

東京地裁が表明した和解条項に関する記事の内容は次の通り。

公人の政治的姿勢、言動等に関しては、国民の自由な論評、批判が十分に保障されなければならない。(中略) その上で(世耕氏側が)事前の削除要請・交渉もなく、訴訟を提起するという方法をとったことについて、公人に対する言論を萎縮させるおそれがあるものと被告に受け止められ、反訴が提起されるに至ったことは、裁判所ならびに原告および被告にとって遺憾。

あくまで和解で、判決ではないので、判例にはなり得ないのかもしれないが、この裁判結果はパンパカ工務店氏に対する訴訟にも影響を与えるのではないだろうか。文面から察するに和解条項は事実上原告側の訴えを「濫訴」――「スラップ訴訟」と認める内容になっている、と思える。所詮は反スラップ訴訟法の制定を望む人間の身勝手な解釈だろう、と笑われてしまうのが落ちかもしれないが。

パンパカ工務店氏は経済的窮状を訴えている。潤沢な資金を持つ公党立民党相手に公判でどれくらい戦えるのかは想像もできない。それでも、ぜひ勝訴してほしい、と願う。優越的な立場の個人や組織が訴訟を起こして無力な個人から表現の自由を奪う反立憲主義を退けるために。改めて強く求めたい。スラップ訴訟に罰則を科すこと、を。

先にお名前を挙げさせていただいた徳永弁護士はこんなツイートもしている。

義侠心のある方のようだ。パンパカ工務店氏は、いよいよ行きづまったら、徳永弁護士を頼ってみるのはどうだろう。もっとも、本当に力になってくれるかどうかは保証しようもないのだが。

whim_dachs/iStock