デマ2: メアリー・トフト

誰もが信じた6つのデマ! スパゲッティの木、ウサギを出産する女、計算する馬…(前編)
画像は「Wikipedia」より(画像=『TOCANA』より 引用)

 1726年4月、イングランド、サリー州の畑で働いていたメアリーはウサギがいることに気づき、家族へふるまうために捕まえようとしたが失敗。その後3カ月間、彼女はウサギを食べることだけに取り憑かれたという。

 するとあまりにも奇妙な出来事が彼女に起こった。メアリーは立て続けに“流産”を繰り返したのだが、それらは「ウサギの頭」「猫の脚」「9羽の死んだウサギ」だったのだ……。

 サリー州で変なものを出産している女性がいるという噂はロンドンまで広がり、当時の王であるジョージ1世がこの現象を調査するために医者を送った。
流産したウサギの内臓を調べた医者は「彼女の体内でウサギの肺が発達するはずがない」と指摘。またその医者は別のウサギの排泄物から干し草とトウモロコシが含まれていることも発見した。子宮の中で作物を育てることが無理なのはわかりきったことだ。

 だが他の医者達はメアリーが胎内感応(妊婦の精神状態・ショック・ストレスがそのまま胎児に反映し、胎児の形態異常を引き起こすといった当時の考え)により苦しんでいると信じていた。

 よって、メアリーが畑でウサギに驚いた際に彼女の精神状態がウサギの赤ちゃんを出産する原因になったと理由付けたのだ。

 しかし、結果的にメアリーの出産はイカサマだった。彼女は訪問者らに賄賂を渡して動物の部位を受け取り、共犯者らとともに体内にそれを入れていたのだ。

「問題の真相を解明するには痛みを伴う手術が必要」と言われ、最終的にメアリーはそのことを自白。死んだウサギを何度も出産した事により彼女は酷い感染症を引き起こしていた。

 その後、メアリーは詐欺罪で数カ月を刑務所で過ごし、釈放後はひっそりと暮らしていたという。