マーケティング組織の立ち上げ時にやること
まずは、現在のマーケティング予算を確認してみましょう。過去の請求書などを調べてみると、マーケティングにカウントできるような予算が意外と見つかるものです。
例えば弊社では、Webサイトのサーバー代、メルマガ配信ツール代が数年間請求として発生しており、これが最も古い最初のマーケティング予算でした。そこから必要性の交渉を重ねて、少しずつ少しずつ予算を増やしていきました。
年間の人件費を除いたマーケティング予算は、マーケティング部門の決裁権のみで取り扱いができる金額から始めるのがおすすめです。
企業によってその金額は異なりますが、私の場合はサービスの年間売上の1%前後程度から始めていました。最初から高額な予算の取り扱いは、費用の使用について社内合意を形成するだけで時間がすぎてしまい、成果が出ないまま終わってしまう可能性があります。
例えば、とあるチャネルに100万円の投資を年間で行い、いくらの売上を何か月で回収するのか、という計画は新任マーケターにはとても難しい作業です。新しい取り組みなので、周囲も任せていいのか不安になります。
そのため、まずはマーケターやマーケターの上司のみの決裁で施策を始めることができる金額から開始するのがおすすめです。
少しずつ実績を出しながら、投資額の交渉を行っていきます。いきなり高額な予算で、大きな施策を打とうとしないことが、施策の成功においても社内交渉を前に進める上でも大切です。
続いては評価についてです。マーケターの評価については、成果はもちろん大事ですが、マーケティングの成果が現れるには時間がかかるため、適切なプロセス評価が重要です。管理職が部下の行動内容を観察し、3か月後や1年後にどれくらいの成果が期待できるかを逆算して評価しましょう。
管理職経験のある方なら、職種が異なっても今の行動量や行動の質なら半年後、1年後にどのような結果になるのかは、おおよその予想をつけることができるはずです。
3か月間の活動で数字成果がすぐに出なくても、その3か月間の行動量や質が期待に沿ったもので、この行動を半年~1年と続ければ成果が出ると確信できるなら、目立った数字が出ていないからと極端に低い評価をつける必要はありません。
ただし計画ばかりで、資料作成、架電、広告運用など実際にお客様の目に触れるようなものをつくっていない場合は、厳しい評価になるでしょう。計画を立てるだけでは半年後、1年後も数字は生まれません。
以上がマーケティング組織立ち上げにおける考え方です。
私は、マーケティング支援会社に勤めていますが、お客様にはマーケティングはまずは内製で取り組む姿勢をおすすめしています。それでも困ってしまう場合は、経験豊富なコンサルタントがマーケティング組織の立ち上げ、Webマーケティングの取り組み支援などのお力になれたらと思います。
またB2B企業のマーケティング組織の立ち上げについては拙著「ひとりマーケター 成果を出す仕事術」もご参考にしていただけますと幸いです。
<著者プロフィール>
大澤心咲
ナイル株式会社
デジタルマーケティング事業部 マーケティング マネージャー
「ひとりマーケター 成果を出す仕事術」著者
新卒でアクセンチュア株式会社に入社後、2018年ナイル株式会社に入社。
Webコンサルタントとして顧客Webサイトの成長を支援。2020年4月からはデジタルマーケティング事業部の新規顧客獲得の専任担当となり、マーケティングチームの立ち上げを担当。