テレビ各局は性加害があった前提で対応を。
テレビ各局は前述の通り静観のスタンスを取っているが、26日のリリースはジャニーズ事務所が事実関係を認めたという読み方しか出来ない。各局は今後性加害はあったという前提で対応すべきだ。そうなればジャニーズ事務所との取引は継続が不可能だろう。
まだ事実関係は不明、当初判断を保留した公式コメントと矛盾している、揚げ足取りのような記事で事実認定なんて知ったこっちゃない、ということであれば、各局はジャニーズ事務所にこの記事で指摘した矛盾点を取材なり確認なりすればいい。「再発防止」とは一体どういう意味なのか? と。
矛盾を放置するのなら景子氏の知らなかった発言と同様、知らなかったのではなく知りたくないだけ、ということでテレビ各局はまだ忖度を継続していることになる。
17日公開の「テレビ局がジャニーズ事務所への『交渉力』を失った理由。」では、今後はスポンサーが下りて、広告の採用も無くなる、そうなればテレビ各局もジャニーズ事務所のタレントを使わなくなると書いた。株主からの突き上げを受けたら経営陣は対応せざるを得ないからだ。
幸か不幸か、株主総会が多数開かれる6月が目前に迫っている。上場企業は決算日から3か月以内に株主総会を開く必要があり、日本企業の多くが3月決算で株主総会は6月に集中している。そしてキー局もすべて3月決算で6月に株主総会が開かれる。これは多数のスポンサーも同様だ。
果たして性加害疑惑を静観したままで株主総会は乗り切れるのか。過去の経営責任を追及されかねない事から認めたくないのかもしれないが、静観や注視といった発言がすでにハイリスクであることをおそらく各局の経営陣はまともに理解していない。
公開された情報から読み取れる問題と矛盾はすべて指摘したつもりだ。あとは各メディアの取材に期待したい。
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中嶋 よしふみ FP シェアーズカフェ・オンライン編集長 保険を売らず有料相談を提供するFP。共働きの夫婦向けに住宅を中心として保険・投資・家計・年金までトータルでプライベートレッスンを提供中。「損得よりリスクと資金繰り」がモットー。東洋経済・プレジデント・ITmediaビジネスオンライン・日経DUAL等多数のメディアで連載、執筆。新聞/雑誌/テレビ/ラジオ等に出演、取材協力多数。士業・専門家が集うウェブメディア、シェアーズカフェ・オンラインの編集長、ビジネスライティング勉強会の講師を務める。著書に「住宅ローンのしあわせな借り方、返し方(日経BP)」
東山紀之さんのコメントは、テレビ朝日と日本テレビによる報道倫理違反の可能性あり(中嶋 よしふみ SCOL編集長) テレビ局がジャニーズ事務所への「交渉力」を失った理由(中嶋 よしふみ SCOL編集長) ジャニー喜多川氏の性加害疑惑を、企業不祥事の視点から考える(中嶋 よしふみ SCOL編集長) ジャニーズ事務所の「知らなかった」発言を批判できないテレビ局とスポンサーと広告代理店の忖度。(中嶋 よしふみ SCOL編集長) 過去最高の税収68兆円より社会保険料が多い理由。(中嶋よしふみ SCOL編集長)
編集部より:この記事は「シェアーズカフェ・オンライン」2023年5月28日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はシェアーズカフェ・オンラインをご覧ください。