政策の窓は開いている
こども家庭庁の会議、こども家庭審議会の委員に3名の大学生委員が選出されました。政府の審議会は、こどもに関する政策について調査や審議をする場とされていて、こども政策の政府としての意思決定を行う上で重要な会議体です。
多くの審議会などの役所の会議体は、昔からある経済団体や労働者団体などの業界団体・中間組織の代表が伝統的に選ばれてきました。業界団体や中間組織は多くの加盟企業や構成員を抱えています。団体に加入している人からすれば、自分たちを代表して会議で意見を述べてくれる人がいるわけなので、一定の政治参加の感覚を持てることになります。一方で組織化されていない人たちの声は政治に届きにくいことが課題でした。
大学生という肩書で複数の委員が会議に出席するはかなり珍しいケースといえます。こども家庭庁の発足を機に、これまではあまり聞くことができていなかった人たちの意見も政策に取り入れていこう、という政府の意思表示の現れといえます。
一部の中間組織では組織率が低下(例えば労働組合の組織率は長期的に低下傾向にあります)し、政治家の後援会もなかなか集まりにくくなっているといわれています。これまで通りのやり方では十分に人々の声を政策に反映できなくなってきている危機感が政府にはあるため、こども家庭庁の事例に代表されるように、行政との距離があった人たちの声も政策に取り入れていこう、という機運が近年生まれているといえるでしょう。

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