しかし、政治家は全ての分野に対して精通していない以上、特定の分野で制度設計や改革する際には、その道の専門家に事情を聞くのである。長年意見交換して培ってきた関係を信頼関係と呼ぶのか、しがらみと呼ぶのかは立場に寄る。
各種団体に張り巡らした知見のネットワークは、自民党が地に足をつけて活動してきた証左であり財産だ。大事なのは現状に飽き足りることなく、信頼関係を軸に業界団体にも時代に合わせて変わるよう促す政治家の覚悟であろう。そして、その覚悟と力を持って改革してきたのが故・安倍晋三、菅義偉両総理経験者であり、著者が尊敬して止まない自民党所属の政治家である。
「改革。そして成長。」のキャッチフレーズ元祖は、小泉純一郎総理時代の「改革なくして成長なし」である。著者が打倒すべきと考えている自民党は、実は維新の源流である。
融通無碍に体質を変えながら、時代に適応し続けてきた自民党。維新の政策を取り込み、自民党が改革保守として再び生まれ変われば、そのこと自体が維新対策になるはずだ。選挙で維新が脅威となるか否かは、結局のところ自民党の問題なのである。
■