自民党から大阪府議会議員に当選した著者は、1期生の時から幹部と衝突。後に離党する。エネルギーの根源は現状への怒りであり、

大喧嘩を繰り返す中で維新の現代表である馬場伸幸氏や、盟友である橋下徹氏と強固な人間関係を築く。そして著者の怒りの矛先は、変わることを拒む自民党に対して向くことになる。元自民党議員の著者にとって、そして維新にとって、自民党は改革を阻む守旧派勢力である。

この見方は一定数の自民党員や自民党支持層にも共有されている認識で、共感を呼び起こす可能性がある。

菅さんは突然テーブルを叩いて激怒した~(中略)~あの橋下さんでさえ、何もいえなかった。

一方で激しく自民党を批判する著者が、最も尊敬して止まない政治家が自民党議員であることは注目に値する。故・安倍晋三氏と菅義偉氏である。

著者が強調する大阪都構想や大阪万博誘致に触れる箇所では、主役が著者から菅義偉氏に変わると言っても過言ではない。橋下徹氏を大阪府知事選挙に担ぎ出すところから始まる両者の関係は終始良好であるが、大阪都構想が壁にぶち当たり自暴自棄になった著者を菅氏が一喝するシーンは迫力満点である。

政治的リスクを承知で政党を超えた協力を惜しまない菅氏の覚悟と、微動だにしない二人の絆。本書のカバーに「第99代内閣総理大臣」としてコメントを寄せる強固な信頼関係の根源がここにある。

既得権を守ろうとするのが自民党で、打破しようとするのが維新である。

著者が言う自民と維新の違いはここにある。そして自民党は各種団体とのしがらみに捉われ、改革が出来ないと言うのである。