つまりプーチンは戦術核を使いたくても使えないのではないか?
戦術核を使用すれば、理由の如何を問わず、NATO諸国は猛烈に反発するだろう。況や、核保有国は報復措置に出るに違いない。一つには、ロシアがやっていることは、NATO諸国の衛星画像で手に取るようにバレている。仮にベラルーシに戦術核を配備することは核拡散防止条約に違反しないと方便している。
情報BOX:ロシアによるベラルーシへの戦術核配備、実態と問題点
しかし、ベラルーシのルカシェンコ大統領が、全てにおいてプーチンの言いなりかと言われれば、そうではない。ルカシェンコは同盟国としてロシア支援の姿勢を見せてはいるが、ベラルーシ軍がNATOと敵対できるほどの戦力は持ち合わせていない。
まして、一年に及ぶ戦闘で弾薬の枯渇、兵力の不足が言われているのはロシアの方だ。不確実な情報だが、ウクライナ兵が捕らえたロシア兵の証言によると、最前線では本当に弾薬が不足しているどころか、ウクライナ軍のドローン攻撃によって補給路が相次いで絶たれ、食糧すら不足していると言われている。
今回のG7において、ロシアの戦術核使用を牽制しながら、同時に核抑止の効果は認めつつ核廃絶を最終目標に据えたことの意義は大きいと考える。つまりG7諸国は、核の脅威を目の当たりにすることによって、ロシアが牽制する戦術核使用の危険性を認識し、だからこそ、現在のウクライナを後方支援することで、プーチンに核使用の野望を持たせないことを狙っている。
核を使用することは、これほど甚大な被害を齎すと認識した上で、ロシアを牽制したのだ。
また同時に、それは台湾侵攻を目論みながら、太平洋諸国に影響力を持とうとする中国への牽制でもあるだろう。
ロシアも中国もNATO諸国やG7各国に対して、核を保有しながら自分たちを批判するのは間違っていると言いたいのだろうが、それはただの方便でしかない。事実として力による現状変更を目論み、また行動しているから批判されているのだ。
その意味で、今回のG7を広島で行ったことの意義は大きい。
つまり、今回のG7の主たる目的は、一体誰が平和な世界の敵なのか?を事実として示したのが最も大きな成果ではなかったのか?
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以降、
・議長国日本の役割とは何か? ・人類が広島市民になることの意味
続きはnoteにて(倉沢良弦の「ニュースの裏側」)。