我が国の取り組みの在り方

現在進行中の気候変動の議論をみていると、「地球環境」と何でもかんでも一緒くたにして、グローバル目標を掲げ議論していることが多いが、日本とヨーロッパとでは、陸地や山脈の広がり、海洋の存在、大気の流れ、温湿度や雨風といった気象条件などが大きく異なっている。地球は一律ではないのであり、各地の事情を十分に理解した上で、現実的な取り組みを個別に進めていかなければならない。これこそ、G7の前文に書かれていたことだ。

昔のSO2同様、気候変動のCO2についても、パフモデルを使ったシミュレーションをやってみてはいかがだろうか? コンピュータも計算技術も当時とは違い桁違いに進歩しているのだから、難しくはない。その結果を公表して欲しい。我が国の事情を十分に反映した、より具体的かつ実効性のある政策が打ち出せるのではないだろうか。

そもそも、我が国のCO2排出量は全世界の3%程度であり、最大排出国の中国はその約8倍。この数字の差から見ても、我が国の貢献度は限りなくゼロに近い。いくら脱炭素対策を行っても気温に対する影響は、0.00X程度だと言われている。

日本のCO2が大気の温暖化に寄与しないのであれば、莫大な予算を費やして、温暖化対策などしなくても良いはずだ。それが前文の謳う「各国の事情に応じた多様な道筋の存在」ではないだろうか。

技術開発は必要だが、これまでの国家プロジェクトがあまり成果を出してこなかったという苦い経験もある。一時私も参画したが、その技術は実用化されていない。そうした原因の精査もなしに、繰り返し我々の税金を注ぎ込んではならない。メリハリのある技術開発をお願いしたい。我々の税金は、国内の貧困や教育、防災、国防など我が国の強靭化に資する分野に回して、投ずべきではないだろうか。

炭素循環の姿

要約すると、日本では化石燃料を燃やして発電しても、煙突から排出されるCO2は国土の東側に大きく広がる太平洋に吸収される可能性が大きい。CO2は太平洋で吸収され、海中のCO2はプランクトンや藻類、魚の餌となる炭素循環を形成している。

「CO2は汚染物だ」と誤解している人が多いが、CO2は海洋生物の栄養素であるばかりか、お米や小麦などの穀物や野菜などとして結実し、それを我々が食べている。牧畜業で必要な餌もCO2があってこそ収穫でき、家畜に与えることができる。CO2は、正に人間をはじめとする動物の生命の源泉である。

より多くのCO2は地球を緑化し自然にとって有益である。空気中のCO2濃度が高まれば、地球上に存在する植物バイオマスの成長が促進される。また、農業にも適しており、世界中の作物の収量を増やし、世界人口80億の生命を支えている。我が国が得意としている植物工場では、野菜の成長を促すために人工的にCO2を与えており、その濃度は1000ppm以上である場合が多いとのことだ。