かつては「ゲームセンター」に連日多くのプレイヤーが集まり腕を競い合っていた「格闘ゲーム」。しかし現在は「インターネット」や「家庭用ゲーム機」のスペックが上昇し、ゲームセンターに行かずとも自宅で対戦が可能となっております。
とくに「eスポーツ」などで、オンライン「対戦ゲーム」は人気コンテンツの一つ。そんな中、実はこの令和のご時世、未だに「ゲームセンター」に通い、昔ながらの「2D格闘ゲーム」(以下:2D格ゲー)を楽しんでいる、ゲーマーがいます。
オンラインで対戦できるのになぜ?そんな疑問を持った筆者は、知り合いの「2D格ゲー」ファン「19号氏」に話を聞いてみました。
「2D格ゲー」とは
「2D格ゲー」は、3Dの技術を使わず昔ながらのドット絵「2D」を使った格闘ゲーム。
有名どころで言えば「ストリートファイターシリーズ」や「ザ・キング・オブ・ファイターズシリーズ」等が挙げられます。しかしながら時代の進化とともに、それら作品も最新版では「3D」となってしまっており、「2D格ゲー」ではなくなっております。
もはや「令和」において昔ながらの「2D格闘ゲーム」を探すのが難しくなり、当然ゲームセンターからもそのような種類のゲームは徐々に数が減り、今では「写真シール作製機(プリクラなど)」や「クレーンゲーム」「音ゲー」などが主流という状態です。
■なぜ未だに「ゲーセン」で2D格ゲーをやるの?話を聞いてみた
ではなぜ、このご時世「2D格ゲー」をやり続けるのか。しかも足繁くゲーセンにまで足を運んで。今回当事者である「19号氏」に話を聞こうとしたところ……。
当初は、知り合いということもあり気前よく答えをくれると思った……ところが、なかなか良い返事がもらえませんでした。どうやら思い悩むところがあるようです。しかし、ある日突然連絡が入り、その理由を語ってくれました。
--なぜ未だに「ゲーセン」で2D格ゲーをやるの?
子どもの頃に対決ゲームで「相手に勝つ」という喜びの報酬を得た。
青年・中年で競争に参加せず(あるいは負け続け)唯一の他人より優れているかもしれない分野にしがみつくのが私。中年の「格ゲー」プレイヤーには同じような人が居るかもしれないし、居ないかもしれない。
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なるほど、かっこいい言葉で言えば「自分の居場所」そういったところなのかもしれない。確かに、ゲームを純粋に楽しむだけでなく、相手に勝つことの喜びや、負けたときの悔しい気持ち、そしてそれに対する「対策」はその後の自分を成長させる。ある意味「自己研鑽」の場でもあるといえるのかもしれません。
ただ、それならば今の時代に「ゲーセン」に通わなくても良くて、それこそ「ネット」で「オンライン対戦」ができるはず。実際に現在「eスポーツ」などでオンライ対戦は主流になっている。その点についても聞いてみました。
--なぜ「オンライン対戦」をやらないの?
まぁ、たしかに今はネット対戦できるが、当時はその環境がなかったから、その名残かもしれない。どちらかといえば、(よく行くゲーセンに)お世話になってたので、月イチぐらい「お布施」をしてる感覚(笑)。
また、行きつけのゲーセンでは「オンライン対戦」が非対応な「格ゲー」をわざわざ仕入れてくれたり。そのへんはゲーセンだから楽しめる醍醐味の一つ。
ただ、昔ながらのゲーセンもだいぶ少なくなり、「ぷよぷよ2」と「スパIIX」は他店舗が閉店した時に流れ着いたほど。そのようなゲームの避難民も出てきている。
ちなみに、最近では「グランブルーファンタジー ヴァーサス」をPS4でオンライン対戦はしたこともあった。
--「STREET FIGHTER 6」とかはやらないの?
他の人がやらないからやらない。
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なんと「格ゲー」プレイヤーであれば、当然のことながら最新シリーズを楽しんでいるのかと思いきや、昔からプレイしている人はシンプルに「他の人がやらないから」という理由でやらないということ。この理由は、非常に納得がいくものであり、ストンと理解できました。
最近では次々と新しいゲームが登場しては、いつの間にか忘れ去られるという新陳代謝の高いゲーム業界。
多くの人はつい新しいものに手を伸ばしてしまいがち。しかし「2D格ゲー」プレイヤーはそうではなく、なじみあるゲームや対戦を楽しむことに加え、現地に行くことで生まれる「コミュニティ」や「コミュニケーション」を楽しんでいるようです。
たしかに実際に人と会って交流するという、ある意味「リアル対人戦」はオンラインにはない魅力。オフラインイベントを企画すれば似たことができるかもしれませんが、ゲーセンのように「気が向いたときにふらっと立ち寄り」「行けば誰かいるかも」という状況とはまた異なります。
同じゲームジャンルでも、「常に行ける場所があるかないか」というのは確かに大きく違う点。このため熱烈な「2D格ゲー」ファンは、オンラインには目もくれず足繁く通い、お店を支える。それを「19号氏」はゲーセンへの「お布施」と呼んでいましたが、これ以上例えようのない上手い表現だと感じます。
プレイヤーの高齢化とともにその「お布施」はだんだん減っていくのかもしれませんが、なんとか今後も昔ながらのゲーセンは生き残って欲しいものですね。
<記事化協力・写真提供>
19号氏
(たまちゃん)
提供元・おたくま経済新聞
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