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G7首脳が原爆資料館を視察

G7広島サミットが開幕し、各国首脳が被爆の実相を伝える広島平和記念資料館(原爆資料館)を訪れ、人類は核兵器の惨禍を二度と繰り返してはならないとの認識共有を深めた。

しかし現実にはウクライナを侵攻するロシアは核の恫喝をためらわず、本年2月には新戦略兵器削減条約(新START)の履行を一方的に停止してしまった。また中国では「台湾統一は歴史的任務」と語る習近平国家主席の指導体制が3期目に入り一層の権力集中が進む中、核戦力増強も加速されており、2035年までに核弾頭保有数は4倍になると見込まれている。さらに北朝鮮の核ミサイル開発に関しては、中露の拒否権行使で国連の制裁決議案は否決され、暴走を止められない。

こうして核の脅威は冷戦後では最も高まっており、「核なき世界」への道は大きく遠のいている。

2010年頃は米露間の核の脅威削減に光明が見えていた

今ではすっかり忘れ去られているが、2009年9月に米露間で実効性のある核の脅威削減に関する画期的な協定が締結された。「プルトニウム管理処分協定」(PMDA)という協定で、戦略核兵器削減条約(START)等で進められる核兵器解体で生ずる余剰プルトニウムを双方で34トンずつ処分する協定である。この協定で人類は合計1万7千発分の核の脅威から解放されることが約束されたのである。

紆余曲折はあったが、米国は軽水炉で、またロシアは高速炉(BN600およびBN800)で、ともに当該プルトニウムをMOX燃料にして燃やすことで合意された。

この場合燃やすといっても、プルトニウムが消えてしまうわけではないが、燃焼後のプルトニウムは品位が著しく低下して原爆には使えなくなってしまう。核の脅威をなくす実効性のある処分法だ。その実施に向け、米国では共和党ブッシュJr.政権下の2007年にサバンナリバーでMFFFというMOX燃料工場の建設が開始され、ロシアでもMOX燃料製造体制の整備が進められた。