嘱託職員への軽視が事業を揺るがすことになる
重要なポジションに嘱託職員を据える場合は、慎重な契約交渉が重要になってくるという。
「今回の宮古島の例は、嘱託職員の扱いを軽視することがどれだけ大きな打撃を与えるかを知らしめた非常にいい例だと思います。身銭を切ってでも賞与を払っておけば、長期的には食肉センター側にも十分な益はあったはずです。それにもかかわらず賞与を払わなかったのは、嘱託職員への軽視があったからではないでしょうか。ネット上では多くの批判が出ましたが、個人的にはそういった批判も納得です。他の人では替えのきかない重要なスキルを持っている人材は正社員で雇い、その重要性に見合った対価が支払われるべきでしょう。もし、定年後で正社員登用ができないとしても、それなりの賞与を払うべきでしたね」(同)
人材の価値が変化しても流されない、地に足のついたマネジメントが重要だという。
「昔から『人材はプロフィットセンターか、コストセンターか』という議論があります。プロフィットセンターというのは『利益を生み出す部門』のことで、コストセンターは『利益を生まない部門』のことを指します。このコストセンターをいかに効率化できるかが成長のカギとよく語られますが、人材というものは企業を取り巻く経済状況やマネジメントの腕によって、プロフィットセンターにもコストセンターにもなり得ます。
宮古島の一件は、専門技術を持ちプロフィットセンターとして利益を生み出してきた人材が、コロナ禍という状況の変化によって、思いもよらずコストセンターになってしまったことと、その際にコストセンターだからと安易に切り捨ててしまったところに問題があったのでしょう。嘱託職員は、こうした一時的な変化でコストセンター扱いされてしまった場合に切り捨てられがちですが、あまりにも人材の軽視といわざるを得ません」(同)
誰が、どの部門がプロフィットセンターになるのか。嘱託職員だからという浅薄な理由で判断を下す前に、人材の価値を今一度見直す意識を企業側が持つことが大切なのだろう。
(文=A4studio、協力=寺尾淳/フリーライター)
提供元・Business Journal
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