学校の教員不足が深刻化しているなか、6日付読売新聞記事『激しさ増す教員奪い合い、副校長が土日返上で400人以上に電話…担任4人交代のクラスも』が反響を呼んでいる。記事によれば、東京都内の公立小学校で教員が育休を取得することになり、副校長が代わりの教員を探すために教員免許を持つ人など400人以上に電話をかけ続けたが、代わりの教員を確保できず、結局、非正規の教員にお願いして契約を延長。だが、その直後に別の教員が体調不良で休職になったという。読売新聞の取材に対し副校長は「教員の奪い合いが激しさを増している」と話しているが、教員の欠員が生じた場合に学校が自助努力で代わりの教員を探さなければならない実態に驚きの声も広がっている。教員の補充は教育委員会ではなく各学校の責任で行わなければならないのか、また、教員の不足や長時間労働の問題をどう解決しようとしているのか。東京都教育委員会に聞いた――。

 2021年に文部科学省が実施した調査によれば、教員不足が生じている公立小中学校は全国で4.8%ほどなっているが、実態は異なるという声も強い。有識者や現役教員らでつくる団体「#教員不足をなくそう緊急アクション」は今月、全国の公立小中学校の教頭・副校長を対象にした調査の結果を発表し、それによれば、約2割の小中学校で教員不足が起きており(4月時点)、約1割の中学校では「授業が実施できない教科がある」という。

 教員不足の背景には、第2次ベビーブームを受けて1970年代に大量に採用された教員が定年を迎えているのに加え、育休や産休、病気による休職などで現場を離れる教員が増えていることがある。これまで公立学校では教員の欠員は生じた際には、教員免許を取得したものの各自治体が実施する教員採用試験で不合格となった「待機組」と呼ばれる人々を非正規で採用するケースも多かった。だが、近年では教員採用試験の倍率低下により「待機組」の人数が減っていることもあり、代替教員が見つかりにくい状況となっている。