ゲーム依存とゲーム障害の違い
ところで、「ゲーム依存」という言葉もよく見かける。多くの子どもは楽しいからゲームをやっているのだが、子どもの中にはゲームをあまり面白いと感じていないのにやり続けている場合もある。学校や対人関係のストレスが強い場合に、そのイヤなことを頭の中から追い払うために、ゲームがやめられないのである。
ゲームには強い刺激があり、ゲームをしている間は他のことを考えることが難しい。そのため、イヤなことや不快なことを頭の中から追い払うのには最適なのである。
このように、様々なストレスから生じる不安や落ち込みなどのマイナスの感情を避けるために、何らかの手段から離れられなくなっている状態は「依存」と呼ばれている。単にゲームをしている時間が長いと言うことではなく、それによって不快を避けてるというメカニズムに注目した言葉が「ゲーム依存」である。
それと対比すれば、「ゲーム障害」とは他に大事なことがあるにもかかわらずゲームが止められないという状態に注目した言葉である。
そもそもゲームのやり過ぎは良くないことか?一方で、ゲームをすることは、子どもにとっては意味のある体験となっている場合もある。子どもがゲームの攻略法を考えて、工夫したり、練習したりしながらゲームを楽しんでいることは非常に多い。それは、試行錯誤しながら自分で考える知的な活動だと言える。
また、チーム対戦のゲームも子どもには非常に人気があるが、仲間と作戦を話し合って、協力したり、相手チームと駆け引きをしたりするなど、人間相手の複雑なやり取りを楽しんでいることも多い。そういったゲームを楽しむ中、達成感や充実感を味わうことも多いだろう。反対に、悔しい思いをしたり、我慢したりなど気持ちの上でも意味のある経験をしていることも多いと考えられる。
こんなふうに、子どもたちはゲームをする中で意味のある体験を重ねているため、ゲームを良くない物であると決めつけることはできない。
以上のことをまとめると、次のようになる。楽しんでゲームをやっていて、意味のある充実した体験をしている場合は子どもの成長にもつながるため、あまり心配をする必要はないかもしれない。
一方、ゲームをやりすぎてしまって、勉強や生活に支障が出ているのに止められない状態は「ゲーム障害」かもしれない。必要に応じて医療などを利用することが望ましい。また、イヤなことを忘れるためにゲームに没頭している場合は「ゲーム依存」の状態かもしれない。