待てなくなった消費者

 さらに、インターネットが普及した消費社会で、欲しい商品がすぐに手に入れられるようになった結果、待てなくなったことも大きい。勉強にせよ、仕事にせよ、すぐに成果を出せるわけではなく、ときには回り道になるかもしれない努力を積み重ねた結果、果実を手にできるのだが、それを待てない若者が増えている。

 今すぐに欲しい消費者が大事にされる消費社会で育った子どもたちが、こうなったのは当然だと思う。しかも、コスパ意識が高まり、無駄になるかもしれない努力を忌避する若者が増えた。このことも、「努力しても報われない」という思い込みに拍車をかけているように見える。

 このように「努力しても報われない」と思い込んでいる若者が増えた背景には構造的な要因が潜んでいる。こうした思い込みを払拭し、多くの若者が「努力すれば報われる」と思えるようにならないと、「闇バイト」に引き込まれる若者は跡を絶たないのではないだろうか。

(文=片田珠美/精神科医)

参考文献

野口悠紀雄『日本経済入門 』講談社現代新書、2017年

提供元・Business Journal

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