V12エンジンの存在意義
今回は自動車産業の最高峰であるV12エンジンについて、その魅力やメカニズム、現状や将来の展望などについてご紹介してきました。モータリゼーションによって今では多くの人々が自動車を利用していますが、これまでその中心にあった一つはエンジンです。
BEVの普及によってそういった状況が変化しつつありましたが、最新トピックとしては実用(ユーザー利用の)面でのコスト課題等はあるものの、以前からカーボンニュートラルに向けてガソリンや軽油(ディーゼル)の代替案として期待されてきた合成燃料(e-fuel)の開発と普及の推進も加速しており、2023年4月の先進7カ国(G7)による気候・エネルギー・環境大臣会合にて「多様な道筋を認識。水素、合成燃料・バイオ燃料等の脱炭素燃料への言及など」といった共同声明も発表され、エンジンが将来も自動車の中心の一つとして続いていくことも十分に考えられます。

重要なのは、それらに加えてハイブリッド技術や燃料電池といった全方位での技術や各国の電源政策などをトータルで鑑みた上で、適材適所のパワートレインを地域別に活用することであるため、パワートレインもどれかに一辺倒ではカーボンニュートラル向けての全体ベストは実現できません。
しかしながら、全体ベストに向けて全方位でパワートレインを開発していけるだけの企業体力があるのは一部の大手自動車メーカーのみで、他は事業規模的に難しく、次世代に向けた企業戦略の選択と集中が経営課題となっています。
ブランドオリジナリティが問われる今後、V12エンジンを提供し続けることはまさにブランドの極みで希少性が高まるほどに存在意義も向上していくと推定されます。
いつの時代にも技術で先行するハイエンドモデルは、コストの高い合成燃料とV12エンジンの組み合わせで走行中のカーボンニュートラル実現をリードする日がやってくるかもしれません。
文・橋爪一仁/提供元・CARSMEET WEB
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