「多様性を認める組織は強い」という考え方は、もはや常識のように語られるようになっています。
多くの企業が「私たちは多様性を重視しています」とアピールするようになり、また一方では「〇〇社は多様性を軽んじている!」という批判が聞かれることもよくある光景となりました。
そんな中、「多様性を追求する企業が増えると、社会全体が同質化する」というのは意外に感じられるかもしれません。
私自身、企業経営のコンサルティングを手がける中で、「多様なバックボーンやスキルセットを持った人材を揃えることで、企業の競争力が強められる」のを現実に目にすることはほとんどありません。
「多様性の追求」が一企業の繁栄につながらないことはもちろんのこと、タイトルにも掲げているように、社会全体ではかえって無個性な会社が増えてしまうと考えています。
「多様性が豊かさや強さをもたらす」という神話は、生態系という大きなシステムにはあてはまるかもしれませんが、それを組織単位での話と混同するべきではないのです。

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