【政府への提案「拡大抑止の机上演習」】
今回拡大抑止が、米韓首脳会談でもとりあげられてワシントン宣言が出された。「ニュークリアコンサルテティブグループ(NCG:核協議グループ)」は日米でもやっている拡大抑止協議とたいして違いはないと思うが、2月にやった「テーブルトップエクササイズ(机上演習)」を日本の拡大抑止についても踏み込んでやって頂きたい。
⇒ ここは、具体的に、「拡大(核)抑止」について、「核配備」や「原潜寄港」よりも現実的で必須の具体的行動が提言されている。
【ポジティブリストからネガティブリストへ】
国家安保戦略で「防衛産業の維持強化は、国が前面に立って官民連携で守っていかなければならない重要分野だ」と示されたことを高く評価する。また防衛装備移転ができるということは、日本および装備移転先の国との防衛協力の深化を通じて、日本の安全保障にとっても大変有益である。しかし防衛装備移転三原則の制約が大きすぎる。事実上、ほぼ禁輸状態と言える。
「我が国と安全保障協力関係にある国、つまりその国と連携が深まった方が日本の安全にとって資する国であっても、そこに出していい装備品というのは、救難・輸送・警戒・監視・掃海というこの5分類にあたるものだけ」となっている。
この「ポジリス(Positive List:ポジティブリスト)思考」を変えるべきである。改正する際には、「日本の安全保障に本当に資するかどうか」それだけを基準にするべきである。あらゆる鎧を三重四重に着ているのが今の日本である。今回を機に一気に変えなければ、日本がこの厳しい安全保障環境の中で本当に自分の独立と平和と繁栄を守ってやっていけないのではないかと、強い危機感を持っている。
⇒ ここでも強い危機感と具体的な課題が指摘されている。
【G7サミットの活用】
G7サミットには、インド・韓国・島嶼国等、日本が大事だと思う国が招待されている。G7サミットの場において、ウクライナとともにこの台湾海峡の平和と安定というのを、改めてもう一歩具体的な形で、多くの国のコミットメントをするものとして確立をしていただきたい。
⇒ 最後にここまでの提案をまとめて政府に念を押した。
※ 以上は全て参議院外交防衛委員会から筆者が文字起こしの上要約した。
参議院外交防衛委員会 松川るい委員 (文字起こし)|田村和広 (note.com)
まとめ松川議員の時代・環境認識と、政府への要望は次の通りとなる。
今や「国際秩序の時代」から「パワーポリティクスの時代」に変わり、日本は、「白村江の戦い(663年)」以来4度目の、国柄が大きく変わる時を迎えている。 台湾有事に対し、「第一列島線」の連携には現状、要石となる台湾と米以外の隣接国との連携がミッシングリンクになっている。(リスクの所在) 台湾有事に備え、日本の安全保障のために「第一列島線連携(日・米・韓・台・比・越・インドネシア・豪)」を確立せよ。 G7広島サミットをその戦略的な多国間連携の場として活用せよ。
この中でベトナムは社会主義国なので、共通の価値観でくくることは難しいかもしれないが、経済的な共栄と日本とベトナムの外交の歴史を考慮すればそのハードルも乗り越え可能な高さであろう。
今回の「第一列島線連携」は「中国のA2/AD戦略」に現実的に対抗できる良策であると考える。もちろん今回のG7だけで達成できるものではないと思うので、細部を詰めて現実的な構想に昇華されることを願う。
これまで筆者の観察では、松川議員の言動は「水先案内人」的である。例えばウクライナ侵略の開始前にそれが不可避なことに言及していたが、それに至っては”予言”にさえ感じたものであった。果たして今後、この「第一列島線連携」は実現するのだろうか。
この連携策が実現し、台湾有事の抑制に機能した場合、政府にはぜひ「松川ドクトリン」と命名して頂きたい。