安全保障戦略に関する国会議員の優れた見識を共有したい。それは参議院外交防衛委員会(5月9日)において林外務大臣等に対して表明された次のような「G7を活用した外交政策」の提言である。
「外交防衛政策の課題として『第一列島線連携』を考慮せよ」
その提言を行ったのは、松川るい議員である。一部に、例えば「松川議員は親韓」という誤ったイメージ(先入観)を抱く人がいるが、それは実像と著しく乖離した認識である。どちらかというとそれは「時間軸も視野も狭すぎる」という、我々受け手側の認知傾向の問題でもあると感じている。
今回の質疑における論理の流れを見れば、松川議員が、
時空間共に、俯瞰して国際情勢を認識していること 東アジアからオセアニア地域に渡る領域の安全保障を模索していること 「台湾有事」を安全保障戦略上最大かつ喫緊の課題と認識していること 安全保障戦略上の喫緊の課題の一つとして「日韓関係の改善」を図っていること
これらが理解できるだろう。
松川議員が前提としている環境認識と自己認識は的確であると考える。それらを出発点とした演繹(:論理展開)もクリアで合理的なので、帰結は妥当である。ところが戦後78年にわたり極度の軍事忌避をこじらせてきた日本のマスメディアはまったく理解できていないようで報道価値を見逃している。
そのためもあって、日本国民にはなおさら伝わらない。そこで当該質疑を精読して理解を深めたい。以下質疑から要旨を抜粋して行く。

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