時代と環境の認識

【時間軸】

日本という国は、本当の危機に直面した時に自己変革をしてきた。1番最初は663年の白村江の戦い。2番目は明治維新。その後国の形を大きく変えたのは、(1945年の)敗戦で占領期の政策。しかしそれは自分で選んだわけじゃない。仕方なくそうなった。

(当該質疑より要旨を抜粋、以下同じ)

⇒ 冒頭から時間軸の定義域は少なくとも1400年はあるが、領域はまだ日本とその周辺である。また明確に言語化こそしていないが、「今再び国の形が大きく変わるほどの危機に直面している」という時代認識を読み取ることができるだろう。問題意識の開陳は続く。

【自己認識】

今回の国家安保戦略は、日本が「自分の足で立つ」、「自分の国は自分で守る」国になって行くための非常に大きな一歩として意義を感じている。

⇒ 言外に「今は自律的とは言えない」という認識が伝わってくる。

【時代・環境認識】

ウクライナ侵略と米中対立によって、「危機の時代」に変わった。「リベラルインターナショナルオーダー(国際秩序)」は後退していて、「パワーポリティクスの時代」になっている。この現実に直面しなければならない。

⇒ ここで視野は一気に世界全体に広がった。日本を繞る時代と環境が急速に変化(激化)しており、現代は「危機の時代」「パワーポリティクスの時代」という認識である。

【地政学的環境認識】

(前述の時代・環境認識下)九州から「ヘリで3時間しか離れていない韓国」と、「第一列島線の日本のすぐ隣に位置している台湾」、この両国が地政学的に極めて大切である。

⇒ ここで世界全体を俯瞰する視野の中で、再び東アジア地域に焦点が合わせられる。

【日韓関係は日米韓連携に連動】

連休中ワシントンDCを訪問し外交・防衛・議員と会談した際、「北朝鮮問題・台湾海峡問題のプレッシャーが高まる中で、仲の悪かった日本と韓国が正常化したおかげで、日米韓連携を良好にやっていける。その変化を歓迎する(主旨)。」ということをこちらが聞く前に異口同音に言われた。

⇒ ここで日韓関係は、二国間関係に留まらず、実は日米韓三か国の共通問題であったことがわかる。

【台湾有事と韓国】

台湾海峡有事は日本より韓国の方が困る。なぜかというと、エネルギーであれ物資であれ、日本には西太平洋を迂回すれば到達するが、韓国には対馬海峡と台湾海峡を通らないことには到達しないからである。そういう意味でG7サミットで「台湾有事の抑止」「台湾海峡の平和と安定」への韓国のコミットメントをもう少し高めて頂きたい。

⇒ ここでは「韓国にとっての台湾有事の意味」が説かれている。

【政府への提案「第一列島線連携」】

第一列島線連携を作って頂きたい。自分の国は自分で守るという意識は大事だが、結局一国では守れないので、やはり同志国の連携が必要である。中でも特に台湾有事のことを考えた場合には、韓国・日本・台湾・フィリピン・ベトナムそしてインドネシア、また豪州という、このシーレーンを守る立場にある第一列島線国の連携というのは極めて大事だと思っている。その時にミッシングリンクは台湾である。安全保障に関し台湾とアメリカは対話しているが、日本と台湾はあまり連携がなく、フィリピンと台湾もまたないだろう。

⇒ ここに至って、「第一列島線連携」という松川議員の構想が表明される。日韓関係が急速に改善に向かう中、休む間もなく「このモメンタム(勢い)を一気に多国間連携につなげよ」という提案である。このような創造的な国際関係構築を提言する国会議員は希少である。これは極めて重要な方針の提案である。