「コカ・コーラ」の牙城に挑み続けた「ペプシ」

サントリーが、米国ペプシコ社から日本での「ペプシブランド商品のマスターフランチャイズ権」(国内マーケティングおよび製造販売総代理権)を取得したのが1997年。翌98年から展開を始め、今年でブランド展開25周年だ。この間のターニングポイントは何か。

「大きく2つあります。2006年に『ペプシNEX』(当時)を発売し、ゼロコーラ(カロリー・糖質がゼロのコーラ)市場を切り拓いたこと。そして2012年に『ペプシスペシャル』を発売し、“脂肪の吸収を抑える”トクホ(特定保健用食品)を取得したことです。いずれも“コーラなのにゼロ”、“コーラなのにトクホ”と従来のイメージを変える商品となりました」(同)

サントリーが展開する以前から、マーケティングの世界では「比較広告」で知られるブランドだった。特に有名なのが、1975年に米国で始まった「ペプシチャレンジ」で、ペプシコーラとコカ・コーラを飲み比べる目隠しテスト(試飲者にはブランド名がわからない)では「ペプシコーラのほうがおいしい」と答えた人が多かった。

ちなみに、コカ・コーラ社が対抗した比較広告では「コカ・コーラのほうが好まれている」という結果を前面に出した。その後も「ペプシチャレンジ」は行われたが、日本では米国のような比較広告が浸透しておらず、少し形を変えたキャンペーンとして実施された。

両ブランドの誕生と「ペプシチャレンジ」までを抜粋したのが以下の表だ。日本で本格普及したのは戦後の高度経済成長期で、食の洋風化も追い風となってコーラが浸透した。

ペプシはコカ・コーラになぜ勝てないのか…誕生から100年超、コロナ禍前より4割増
(画像=『Business Journal』より引用)
ペプシはコカ・コーラになぜ勝てないのか…誕生から100年超、コロナ禍前より4割増
(画像=現在の「ペプシ」のロゴ。北米では今年秋に、2024年からはグローバルで新しいデザインに変わる予定だ、『Business Journal』より引用)

消費者意識を見据えて「ペプシ」がめざす道

最近は通勤電車も混雑し、繁華街や観光地の人出も増えた。まだ油断はできないが、大小のイベントも以前のように開催されて、世の中の雰囲気はコロナ前に戻ってきた。

清涼飲料にとっては追い風だが、「ペプシ」は何をめざしていくのか。

「消費者の方に興味を持っていただき、ブランドを思い出していただくことです。その取り組みも進めています」(同)

同社はゴールデンウィーク明けの5月9日から北海道エリアで「ペプシ ゼロ ザンギ専用コーラ」(北海道限定)を発売する。「ザンギ」は北海道名物の鶏の唐揚げで、一般的な唐揚げに比べて味が濃いのが特徴。昨年6月に発売した「ペプシ からあげ専用」、同年12月の「ペプシ フライドチキン専用」に続く第3弾だ。肉とコーラは相性も良い。

ペプシはコカ・コーラになぜ勝てないのか…誕生から100年超、コロナ禍前より4割増
(画像=唐揚げに合うコーラとして訴求した(写真提供:サントリー食品インターナショナル)、『Business Journal』より引用)

マーケティングの現場では「消費者(生活者)との“出合いの場”を増やす」という言い方もされる。たとえば、小売店の唐揚げ売り場や唐揚げ弁当専門店にコーラを置いてもらうことができれば、「揚げたチキン×コーラ」を印象づけるきっかけとなる。

男性が飲むイメージが強いコーラだが、女性の割合も一定数ある。「肌感覚では男性6~7割:女性3~4割」という声も聞く。今後、コーラを好む女性も増えていきそうだ。

これから最盛期の夏に向かう。コーラ飲料が訴求する次の一手は何になるのか。

(文=高井 尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント)

ペプシはコカ・コーラになぜ勝てないのか…誕生から100年超、コロナ禍前より4割増
(画像=本格的な行楽シーズンも始まる。今年は人出が増えそうだ(写真はイメージ)、『Business Journal』より引用)

提供元・Business Journal

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