コロナ禍でも「コーラ飲料」が健闘した理由
「消費者の好みが多様化した現代でも、コーラ飲料全体では年間約1億ケース。この数字は20年前からほとんど変わっておらず、コーラ好きな方は多いのです」(同)
ここ数年も、コーラ飲料市場は横ばいか微増だという。冒頭で記した清涼飲料全体は4%減となったことを考えると興味深い。
「コロナ禍でリモートワーク中心となり、在宅で働く人が増えたなか、炭酸を飲んでリフレッシュをされる方が多かったと思います。コーラはそれに見合った商品でもありました」
筆者は外出自粛当時、「気が滅入る日々の気分展開」も取材してきた。なかには「ふりかけのかわいいキャラクターパッケージに癒された」「毎日通勤時代は後回しにしていた、部屋の乱雑さが気になり、100円ショップで収納箱を買って整理した」という声もあった。
食品も本連載で紹介したが、「朝にお目ざめアイスを食べる」(一時、アイス市場は朝の売り上げが高まった)のような、“通勤して職場で執務”ではできないような行動があった。
ちなみに、炭酸水などの無糖炭酸、エナジードリンクなどを含めた「炭酸飲料」市場は約3億5000万ケースあるという(サントリー推計)。炭酸水も取材してきたが、「強炭酸」を打ち出すメーカーが多く、消費者も「のどに少し痛いぐらいの刺激が好き」という人もいた。
「コーラの刺激」は、「炭酸水の刺激」とどう違うのか?
「成分が違いますが、消費者の方からは『全体のバランスがいい』と言われます。コーラ飲料の持つ味わい、甘みもあって炭酸も強いという独自性を評価されているようです」(同)

なぜ、「コカ・コーラ」に勝てないのか?
ここで、多くのビジネスパーソンが思うであろう質問を投げてみた。
ペプシコーラは、「なぜコカ・コーラに勝てないのか?」
「ボリューム差(販売数量の違い)や原体験もあり、消費者の方が『コーラ』と聞いて最初に想定するのが『コカ・コーラ』なのです」(同)
過去に「サントリー烏龍茶」のブランドマネージャーも務めた上田さんは、こう続ける。
「これまでさまざまな清涼飲料と向き合ってきましたが、カテゴリー名=ブランド名なのは、コーラとウーロン茶の2つしかありません。
特にコーラ飲料には、原体験の楽しさがあります。たとえば、映画館で映画を鑑賞した時、友人と一緒に行ったハンバーガー店での飲食、夏の海辺で飲んだ経験など、ハレの日の楽しい思い出と結びついているのです」(同)
そこで登場する機会が圧倒的に多いのが、“コークレッド”と呼ばれる赤を配したコカ・コーラだ。米国文化の象徴でもある、あのロゴと黒×赤も印象に残りやすいのだろう。ちなみに、国内の「コカ・コーラ」ブランドの販売数量は年間約8000万ケースで、ペプシコーラの4倍以上ある。
