かつては「なんとなく怖い街」だった
「昔の立川は、今よりも怖い街というイメージでした」
当地を知る中年以上の世代からよく聞く言葉だ。現在、多摩地区を代表する街として名前が挙がるのは、「吉祥寺」「八王子」「町田」「立川」の4つが多いが、他の都市に比べて立川には「ガラが悪い」イメージを持つ人も多かった。
地元情報を発信する「立川経済新聞」の3人(社長の森林育代さん、編集長の石橋由美子さん、記者の長谷山聡子さん)に話を聞いた。
「私たちは多摩地区で育ち、結婚を機に立川に移り住んだ世代ですが、確かに当初はそうしたイメージがありました。それが2014年に東京都内初の店舗『IKEA(イケア)』が、翌年に『ららぽーと立川立飛』が開業したり、その後もおしゃれなカフェやレストランが次々にできたりして、かなりイメージが変わりました」(同)
3人のうちの1人は「私がマンションを買った当初よりもにぎわいが増し、所有する物件価格も上がりました」と話す。ちなみに、筆者も9年前のイケア立川の開業直後に視察して記事にし、今回の取材前にも立川を訪れていたので、こうした話は実感できた。
立川の「都市格」は上がっていくか
近年、立飛グループは積極的に地域活性化に取り組んでいる。
「かつては倉庫業中心の企業で、地元の人も『立飛はよく目にするけど、何をやっている会社なの?』といった認識でした。それが上場を廃止して経営の自由度が増すと、自治体とも連携して多くの施策を打ち出すようになり、企業風土も変わっていったのです」(同社関係者)
ソラノホテルがある一帯は「グリーンスプリングス」といい、空と大地と人がつながる“ウェルビーイングタウン”を掲げる。
今年3月にはプロフィギュアスケーターの浅田真央さんと組んで、自身の名前を冠したアイスリンク「MAO RINK」が来年秋にもオープンすることを発表した。
都市格を上げるために、魅力的な文化施設を次々に建設するのは、ビジネス的には常道だ。ただし、これはハードの話。料理人やホテルマン、フィギュアスケーターという人材(ソフト)の魅力を打ち出し、どう集客して“明るいにぎわい場”となっていくか。
「ときと」開業に関わったキーパーソンの何人かは、「最初は来る気がなかった」と話していた。それがなんらかのきっかけで「ピンときた」ので、やって来たのだろう。
文化的な魅力は吉祥寺がある武蔵野市(人口約14万8000人)に遠く及ばない立川市。“通過される街”の取り組みがどう成果を結ぶか。その活動に注視していきたい。
(文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント)

提供元・Business Journal
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