共産党も賛成する「富裕税」
これは合理的な税だが、日本で最大の問題は、消費税に対するアレルギーが強いことだ。岸田首相も「向こう10年は消費税を増税しない」と約束してしまった。だが実は、日本の消費税はヨーロッパの付加価値税(VAT)と同じ多段階の売上税で、消費者は納税義務を負わない。
この累進消費税はVATと違って消費者だけが負担するので、高い買い物に課税する富裕税である。たとえば年間500万円以上の消費に5%の富裕税をかけ、税率を100万円ごとに6%、7%…と上げるのはどうだろうか。
これは財政中立にし、税収の増加分は社会保険料を減税する。所得分配は平等になり、資産課税による海外逃避などの問題も生じないので、共産党も賛成するのではないか。
この税の問題点は、高額消費を抑制する効果をもつ点である。たとえば100万円の軽自動車は非課税だが、1000万円のテスラには100万円の富裕税がかかる。貯蓄過剰が問題になっている日本で、高額消費を抑制するのはいかがなものか、という反対論はあるだろう。過剰消費が問題になっているアメリカでは合理的なのだが…