それが金融政策(金融緩和)の「費用」になると、日銀にかぶせておけば表面化しないだろうという程度の意識でしょうか。金融政策の「費用」について、黒田氏は全く触れなかったし、植田氏も言及を避けています。
日銀OBを含む金融専門家から「金利上昇局面では、日銀当座預金(現在560兆円)の金利上げざるを得なくなる。金融緩和の費用が表面化する。この付利は日銀の収益を悪化させ、政府に対する日銀の納付金が減る。金融正常化の過程(出口)で日銀が債務超過に陥り、政府による資本注入(支援)に迫られかねない」との指摘が聞かれます。金融政策のコストです。
これまで意識してこなかったか、意図的に言及してこなかった金融緩和の費用の問題をどう考えるのか、検証では明らかにしてほしい。
日銀が取り組む検証には、外部有識者らへのヒアリングも実施するとしています。それだけでは透明性が保てないので、ヒアリングの公開、氏名の公表などを検討すべきでしょう。これまでは、大規模金融緩和の効果の説明ばかりが強調され、その費用(コスト)について、当局者は正面から説明しようとしてきませんでした。反省してほしい。
編集部より:このブログは「新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ」2023年4月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、中村氏のブログをご覧ください。