新型コロナウイルスの感染拡大防止措置として、各種の訓練も一部延期・中断されていたようですが、有事はコロナ禍終息を待ってはくれません。防衛費増額や憲法改正の議論はたしかに必要なことですが、派手で勇ましい議論の裏で、防衛体制の根幹がどこか揺らぎつつあるように危惧されます。

我々国会議員は、今こそ精神論に堕することなく、阿ることなく、厳然と主権者・納税者の代表としての職務に取り組まねばならない、と痛感しております。あれこれと指摘をすれば反発や怨嗟の声が生ずるもので、これを恐れていては何も始まりません。

その意味において、香田洋二・元海上自衛隊自衛艦隊司令官の著書「防衛省に告ぐ」(中公新書ラクレ・2023年1月)は実に示唆に富むものです。防衛政策を論ずるにあたって、是非とも多くの方にご一読いただきたい一冊だと思います。

憲法については故・小室直樹博士の「日本国憲法の問題点」(集英社インターナショナル・2002年4月)を大変興味深く再読しました。故・色摩力夫大使の著書との併読をお勧め致します。

今年は修学旅行が再開され、国会見学に訪れた中学生に話をする機会を多くいただき、中には宿泊先のホテルで講演と質疑応答の時間を設けてくれる学校もあったのは、先週この欄に書かせていただいたとおりです。中学生に民主主義の意義や平和の構築にむけての考えを話すことが出来たのはとても有り難いことでした。

また今週はこの他にも、大学院生や専門課程の学生、大学新入生などに講演する機会があり、特に質疑応答はとてもエキサイティングでスリリングな時間でした。いろいろな地域や世代の方々に講演をする機会は、自分の勉強のためにもとても有意義だと思っております。

今週の自民党外交調査会・国連改革検討委員会では、元国連代表部大使・元駐独大使の神余隆博・関西学院大学教授のお話を拝聴しました。ヒトラーの自決後に発足したデーニッツ政権と国家としてのドイツの連続性を、ソ連とロシアとの連続性との関係で論じた視点はとても興味深いものでした。

ウクライナ侵攻においてロシア人が戦い続ける理由として、ロシア政府がこの戦争を大祖国戦争(独ソ戦)に擬えてその意義を強調していることとともに、兵士に破格の厚待遇がなされている、とジョージ・ワシントン大学の論考は指摘しています。