数々の児童文学の名作を持つロアルド・ダール(Roald Dahl 1916~90年)の作品を読んだことがあるだろうか。
「チョコレート工場の秘密」(1964年)は、近年では米俳優ジョニー・デップ主演で映画化されたが、ダールは英国で最も人気があるファンタジー小説および児童小説の作家の1人である。
今年2月、ダールの複数の作品が出版社によって「書き換えられていた」ことが発覚し、大きな議論が発生した。
デイリー・テレグラフ紙の調べによると、ダール作品の出版社パフィンはジェンダー、肥満、メンタル・ヘルスにかかわる数百にも上る表現を変更し、新バージョンとして発行していた。
例えば「太い」(fat)という言葉が作品から削除され、「少年と少女」が「子どもたち」となり、ある作品の登場人物には3人の息子がいる設定だったが、これが娘たちに変わっていた。「男性」よりも「女性」の方が、今風・・・ということなのだろうか。
「マチルダは小さな大天才」では、帝国主義的な小説家ラドヤード・キップリングへの言及が別の小説家ジェイン・オ-スティンに変更されていた。
「悪魔の詩」で知られる作家サルマン・ラシュディを筆頭に、書き換えを非難する声が噴出し、2月24日、パフィンは表現を変えない13作品を「ロアルド・ダール・クラシック・コレクション」として年内に出版すると発表した。新たなバージョンと並列で発行する。
書き換えは以前にもあったダールの作品にはこれまでにも変更が加えられてきた。
「チャーリーとチョコレート工場の秘密」に登場する小人ウンパルンパは元々はアフリカの特定の民族として描かれたが、人種差別の指摘を受け、ダールが存命中の1970年代に、金色の長髪、肌の色が白い小柄な人々に修正されている。