1. 1997年の比較

    続いて、日本経済のピークだった1997年の状況を見てみましょう。

    図2 金融資産・負債残高 1人あたり 金融機関 1997年OECD統計データ より

    図2が1997年の金融機関の金融資産・負債残高の比較です。

    当時日本はイギリスを凌ぎ大きな存在感があったようです。

    最も特徴的なのは、金融資産のうち貸出が圧倒的に多い事ですね。

    金融機関の金融資産のうち貸出という事は、他の主体の負債のうちの借入という事になります。

    当時日本の企業の借入が極端に大きかった様子が、ここからも窺い知れますね。

    また、負債のうち現金・預金も非常に大きなボリュームがあったことがわかります。

    主に家計の現金・預金と考えられますが、当時すでに家計の金融資産が突出していた様子もわかります。

    イギリスの存在感が大きく、イタリアの存在感が非常に小さいのは当時からだったようです。

  2. 対GDP比の比較

    続いて対GDP比での比較をしてみましょう。

    図3-1 金融資産・負債残高 対GDP比 2021年 金融機関OECD統計データ より

    図3-2 金融資産・負債残高 対GDP比 1997年 金融機関OECD統計データ より

    図3が金融機関の金融資産・負債残高 対GDP比の比較です。2021年(上)と1997年(下)になります。

    1997年の時点では、日本はGDPが他国に先行して大きくなっていたので、1人あたりの水準(図2)よりもやや控えめな状況ですね。

    一方、2021年の比較では1人あたりの状況(図1)よりも規模が大きい印象を受けます。

    金融資産や負債の状況に対して、1997年はGDPが大きく成長し、2021年では逆にGDPが過少である可能性が考えられそうです。

    1997年の時点では、金融資産側の貸出が304%と他国の倍以上の水準に達していました。

    2021年では、314%でほぼ変わりませんが、他国がの水準が高まった事で圧倒感は薄れています。

    各国とも金融資産の残高が拡大している様子も良くわかりますね。