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どちらか一方を「殺す」という選択

先日、現役外科医で小説家の中山祐次郎先生の最新小説「悩め医学生 泣くな研修医5」を読んだ。

その中の一場面に、医学生の主人公が解剖学の試験問題に悩む姿があった。

その試験問題がとても深い内容だったので、ここで紹介したいと思う。

【問題】

「シャムの双生児」

19××年、東南アジアのある国でいわゆる「シャムの双生児」が発見された。シャムの双生児とは体の一部あるいは大半が結合している先天性疾患に罹患した子供のことである。歴史上何人ものシャムの双生児が知られているが、このケースでは下半身から上半身の肩あたりまでが結合し、1人分の内臓であった。肩から上、つまり頸部と頭部が2人分あり、それぞれ独立して脳や臓器を形成していた。

この患児たちは出生後すぐには問題なかったものの、数ヶ月して徐々に低栄養、低酸素状態となり、生存するためにはどちらか一方を切り離す分離手術が必要となった。

本ケースにおいて手術を行い片方の頭部・頸部を切除し残りを一方を生存させるべきか。それとも手術が行わないべきか。手術を行う場合、どのようにして生存させる方を選択すべきか、答えよ。なお、知能は同程度であった。

(出典:「悩め医学生 泣くな研修医5」)