9条改正を検討するのであれば、やはり、情緒論ではなく、論理的帰着として戦力不保持を定めた9条2項を削除するか、あるいは、残す場合であっても、少なくとも9条2項の「範囲内」ではなく「例外」として戦力の保持を認める書き方にしないと違憲論は消えない。さらに、「国防規定」が必要と言うなら、自衛隊を「戦力」として位置付けなくていいのかといった本質的な議論を避けるべきではないと考える。

なお、本日示された新藤幹事の資料で「(9条の)現行解釈を維持すべき」そして「解釈の明文化は不要」との記述は、改憲に向けた大いなる矛盾を明らかにしていると思う。「現行解釈を維持し、その明文化は必要ない」のであれば、そのままでいいのではないか。この整理は、憲法改正が不要だと言っているように見える。

それと、「法体系の完成」という言い方も気になる。逆に言うと、現行憲法の規定は「未完成」ということになるが、先ほどの説明では、現行の解釈のもとで整合性の取れた法体系が完成しているからこそ、解釈を維持した上でその解釈の明文化は不要としたのではないか。未完成というなら、「組織に対する違憲論」のみならず「行為に対する違憲論」にも終止符を打つ改憲とする必要があるのではないか。そもそも違憲論の残る国防規定では、とても「法体系の整備・完成」とは呼べないと考える。

最後に、チャットGPTについて申し上げる。実際、憲法9条は改正した方がいいですか?と聞いてみた。

すると「憲法9条を改正する必要性については、意見が分かれています。一方で、国際情勢やテロリストの脅威が増大する中、自国の防衛力を強化する必要性があると主張する人もいます。また、こうした立場の人々は、9条を残したままでは自国の防衛ができないとして、改正を求めています。一方で、9条を変更することが平和主義に反するとし、改正に反対する人々もいます。個人的な意見としては、憲法9条は大切な価値観を表現していると思いますが、時代の変化に合わせて論議し、必要に応じて適切な改正が行われることも必要かと思います。ただし、その際には、多様な意見が尊重され、丁寧な議論が行われることが重要です。」との答えが返ってきた。

正直、バランスが取れていて驚いた。ただ、一つ問題だと思ったのは、改憲論者が「9条を残したままでは自国の防衛ができないして改憲を求めている」との回答だったが、自民党の改憲案は、自国防衛の強化を目的としていない。自衛権の解釈は変わらないし、違憲論も消えないからである。

あたかも改正すれば、防衛力が高まるような説明は間違っていると思うが、チャットGPTはこうした自民党の改憲内容をまだ正確に理解していないようだ。今後、生成AIの答えの正確性・公平性・中立性はどう担保されるのか考えなくてはならないが、その際、AIに学習させる情報や主張によっても回答が変わるので、人間のみならず、AI自身もバランスの取れた情報について学習する環境整備が必要である。

その意味で、私たちが適切に「思想・良心の自由」を形成できるよう、チャットGPTと憲法19条の関係についても憲法審査会で幅広く議論していきたい。

以上

防衛省・自衛隊HPより(編集部)

編集部より:この記事は、国民民主党代表、衆議院議員・玉木雄一郎氏(香川2区)の公式ブログ 2023年4月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はたまき雄一郎ブログをご覧ください。