しかし、もし立法や解釈で「一時的・臨時的・限界的」とされている緊急集会の射程を伸ばしたり拡大できるのであれば、具体的にどのように立法や解釈で行うのか立憲民主党の考えを伺いたいからである。また、期間や対象について限定なく緊急集会で対応できると主張する憲法学者がいらっしゃれば是非参考人として来ていただきたい。これは森会長に取り計らいをお願いしたい。

その上で、やはり立法や解釈では対応が難しいとなれば、その時は、立憲民主党にも憲法改正の議論に入っていただきたい。そうすれば、幅広い成案を得ることができると期待している。

加えて申し上げたいのは、議論を拡散することなく、まずは一致点の多い議員任期の延長について成案を得ることに集中して議論を行うことを求めたい。せっかく議員任期の延長について意見がまとまりつつあるのに、まとまる前に次のテーマに行くことは避けてもらいたい。

はっきり申し上げて、現実的に憲法改正を実現したいのであれば、まずは、議員任期の延長規定に絞って議論を深めるべきと考える。9条改正については、前回の議論を聞いていても、とてもすぐにまとまりそうにない。あまりよくばりすぎるのは良くない。

特に、自民党の9条改憲案では、自衛隊ができることは変わらないと主張されている。一方、議員任期の特例延長は憲法改正しないとできない。必要性の度合いが全く異なると考える。また、自民党の国防規定・自衛隊明記論は、改憲理由が抽象的で分かりにくい印象を受ける。改めて、具体的課題について、意見を申し上げる。

まず、最大の問題は、憲法を改正し「国防規定」を設けたとしても、違憲論が解消されないことである。自民党のいう「国防規定」を設けた場合、自衛隊の「組織としての違憲論」は解消されても、自衛権の行使という「行為についての違憲論」は解消されない。例えて言えば、お父さんの勤め先についての違憲論は消えても、お父さんが行っていることの違憲論は消えないのである。行為についての法的安定性は担保されないのである。

新藤幹事は前回、「誰がどのように国を守るか」が国防規定だと述べたが、自民党案では、「誰が」は明確になっても、「どのように」にの部分についての違憲論が消えない。その結果、新設される国防規定は違憲論がつきまとう不安定な国防規定にならざるを得ず、命をかけて国を守る自衛隊の皆さんに対して誠に申し訳ない内容となる。これでは、まさに「労多くして益少なし」の改憲となる可能性がある。