固定金利型を希望する人が増えている
しかし、2023年4月、日本銀行の総裁が交代し、長く続いた大規模緩和方針が見直され、いずれ金融引締めに転じるのではないかという見方が強まっています。金融引締めで短期金利が引き上げられると、短期金利に連動する変動金利型の住宅ローン金利も上昇する可能性があります。そのため、最近は金利上昇リスクを回避するため、固定金利型住宅ローンを希望する人が増えているといわれています。
住宅金融支援機構が住宅ローンを利用してマイホームの購入を考えている人を対象にして行った調査によると、変動金利型を希望する人は34.5%にとどまり、固定金利型希望者のほうが多くなっています。多少金利が高くても、借入後のリスクがない固定金利型を利用したほうがいいのではないかと考える人が増えているのです。
変動金利型には金利が低く、返済額を少なくできる分、借入後のリスクがありますが、これまでは長い間、超低金利で据え置かれてきたので、リスクを感じる人が少なかったのですです。それが、そろそろ危険かもしれないと考える人が増えているわけです。
金利0.1%台で変動金利型が人気を取り戻す
そこに登場したのが、auじぶん銀行の0.1%台の変動金利型住宅ローンです。auじぶん銀行はネット専業銀行であり、リアルの店舗を持たないため、各種経費がかからず、金利を低く設定できるというメリットがあります。これまでも、メガバンクなどが0.3%台、0.4%台の金利を提示するなかで、0.2%台の破格の金利設定を行ってきました。超低金利によって、リアルの店舗が充実し、営業力のあるメガバンクなどに対抗してきたのですが、ここへきて、ついに0.1%台の金利の住宅ローンを出してきました。金利リスクがクローズアップされ、人気が低迷しそうな変動金利型を、金利引下げによってもう一度見直してもらおうという狙いがあるのかもしれません。
同行の店頭表示の基準金利は2.341%なのですが、図表1にあるように通常はその金利から1.952%引き下げて、0.389%の金利が適用されます。さらに、「auモバイル優遇割」と「じぶんでんき優遇割」の適用を受けられる人は、合計0.1%の金利引下げが適用され、0.289%になります。0.2%%台の金利が適用されるのは、この仕組みによります。