接種翌月の令和4年1月の死亡数は1,325人と多く、その後もなだらかに増加してゆき、令和5年3月22日現在、6,075人に達した。これらの医療従事者の死亡原因は不明であり、コロナワクチン接種が死亡の直接の原因とは言い難いが、他の月に比べて接種開始翌月の死亡数が異常に多く、関連性は否定できない。
令和5年3月22日現在でコロナワクチン3回先行接種した医療従事者の死亡率について計算してみる。図1のデータでは約15か月間の「コロナワクチン3回接種後の医療従事者の死亡数」は6,075人、令和3年12月に接種した人数は1,037,330人(表1)、約15か月の観察期間における死亡率は6,075人÷1,037,330人で0.59%となり、1年間に換算すると0.47%、213名に1人が死亡した結果となった。

表1 令和3年12月にコロナワクチンを先行接種した医療従事者の人数
これだけでも筆者には医療現場で労働している群としては高い死亡率と感じるのだが、ワクチン接種の影響が有るのかどうか判断が難しい。
そこで3回接種後の医療従事者の死亡率がSARS-COV-2出現前のそれと比較して有意に増加したかどうか、統計学的に検討を試みた。方法として標準化死亡比(Standardized Mortality Rate SMR)とその信頼区間を求めた(詳細な標準化死亡比に関する記載はSupplementary materialに別記とした)。
標準化死亡比(SMR)は、3回目先行接種をした医療従事者の実死亡数(1年間当たり)4,860人/予想死亡数2,882人から1.69となった。すなわち、3回目先行接種後に死亡した医療従事者の人数はSARS-COV-2出現前の一般人口よりも1.69倍多いと考えられた。
この「1.69倍」が有意に高いと言えるのか、信頼区間(95%、99%)を求めた。結果、標準化死亡比の95%信頼区間は1.64-1.73、99%信頼区間は1.62-1.75で、99%の確率をもって3回目ワクチンを先行接種した医療従事者の死亡率はSARS-COV-2出現前の一般人口より高いと考えられた。
以下、考察である。
接種翌月の令和4年1月の死亡者数が多いが、令和5年1月の死亡者数は少なく季節による死亡者数の増加では説明が困難である(図1)。コロナワクチン接種の影響であると考えるのが妥当であろう。
一方で4回目、5回目のブースター接種を行った医療従事者は多いと思われるが、その後の急激な死亡者数の増加は見られない。これはmRNAワクチンが治験薬であり、中身の詳細な情報は開示されておらず成分の変更が可能であり、毒性を低くした可能性が考えられる。
なお、医療従事者の先行接種はCOVID-19診療を行っている病院等が優先され、非常に高い接種率であり、医療従事者の中でも高齢者や基礎疾患を持つ人が特に優先的に接種を受けたといった集団としての偏りの入る余地はない状況だった。その後も順次医療従事者の接種は進められる予定となっており、令和4年1月から3月にかけて先のNHKの報道では472万人が接種予定となっていた。