コロナ禍の新たな傾向

ここからは、コロナ禍で利用企業に起こった変化を2つ挙げていきます。

①上場企業が受付システムを導入

前述の利用回数の増加には、上場企業による受付システムの導入が2019年より4倍の増加となったことが大きく影響しています。もともとはITリテラシーが高く、受付だけに人員を割くことができないスタートアップ・中小企業の導入が中心となっていました。

しかし、コロナを機にビジネスチャットが普及するなど様々なDXが半ば強制的に進んだことで、企業では、受付対応にシステムを導入するという“DX化”を踏まえて「新たな働き方」を構築するケースが増えているのでしょう。

そのおもな導入・検討背景には、以下のようなことが挙げられます。

・コロナ禍において出社率を抑制する中、出社している限られた人数で受付対応をする必要があるため、効率的なフローにしなければいけない
・平等なテレワークの実現のため、「人に依存しない受付」を構築したい
・固定電話(内線電話)を撤廃するため、受付対応に電話を使わないフローに改善する必要があった
・経営統合をきっかけにABW(Activity Based Working)やフリーアドレスを進めることとなり、総務部門がすべての来客を取次ぐことが現実的ではなくなった

2022年12月時点で、受付システムは、日本取引所グループの上場企業3,869社のうち132社に導入されています。

その中には、企業が受付をシステム化し完全に無人に置き換えるパターンもあれば、有人の受付を構える企業が、受付担当者の人員を減らして記録と取次はシステムに任せるといったパターンもあります。

②オフィス以外の施設での受付システム利用増

さらに、私たちが意外に感じた新たな需要が生まれました。もともとはオフィス向けのサービスとして展開していた受付システムですが、

・守衛の受付業務を効率化したい工場
・フリーランス美容師が集まるシェアサロン
・完全予約制の医療クリニック

など、オフィスに限らず、もともと常駐で専任スタッフが対応していた様々な受付シーンにおいて、「システムを活用できないか」と問い合わせをいただくことが増えています。

当社が提供する日程調整ツールと同時に利用し、来社(来店)予約から受付までを簡略化するケースも増えています。

担当者がお迎えして丁寧なおもてなしをすることが主流だった受付でも、コロナとの共存・労働人口の減少・コスト削減などの背景から、DX化が進んでいる傾向にあります。こうした取り組みは、今後より広く波及していくでしょう。