問題は、品質(すなわち味)差がわからないこと。「顔が見える野菜。」の“高井博さん”が作った105円のしめじと、まいばすけっとの55円(30%引き)のしめじ。筆者主観では、どちらも美味しい。「顔が見える野菜。」の付加価値は、味ではなく「安心感」だ。生産者(地)を気にせず、筆者程度の味覚であれば、商品価値に差はない。そうなると、SIPはやや分が悪い。加えて、コンビニ特有の問題がある。
ビジネス
コンビニ特有の問題
2023/04/24
新セブンイレブンがまいばすけっとになれない理由
経済産業省「新たなコンビニのあり方検討会」は、2019年から2020年にかけ、全国10都市のコンビニオーナーから詳細な聞き取りを行った。ヒアリング中に、主な問題を以下の4つにまとめている。
(1)ロイヤリティ・商品廃棄問題等により悪化した本部との関係性 (2)ドミナント(※自店舗の近隣に他オーナーの店舗が出店される)による、利益減少 (3)24時間営業による過大な負担 (4)アルバイト・パートなどの労働力確保難
コンビニ各社は、これらの根本解決に至っていない。
一方、まいばすけっとでは、これらの問題はほとんど起こらない。まいばすけっとは全店「直営」だからだ。
当然、ロイヤリティ問題はない。ドミナント出店による、オーナーと本部の揉め事もない。むしろ、会社全体としての利益を追求する「本来の」ドミナント戦略が実施できる。
「東京23区と神奈川では、密度の濃い『超ドミナント化』をねらっていきます」
(コンビニより強い!首都圏で増殖続ける、まいばすけっとの全貌!)
これは、3年半前のダイヤモンド・チェーンストアオンラインの取材に対する、まいばすけっとの回答だ。当時の店舗数は828店。2023年4月現在、1070店にまで増加している。冒頭の医療機関周辺にも、まいばすけっとが5店ある状態だ。
ドミナントにより近隣店舗が多いため、店舗をまたいでアルバイト・パートが配置できる。営業時間は、多くの店が7時から24時まで。コンビニより負担が少ない。公共料金収納などのサービスは行わない。ファストフードは販売しない。結果、業務が覚えやすいため、アルバイトに敬遠されず、人員が確保しやすくなる。
対して、新セブンイレブンは、ふたたび上記4つの問題に向き合うこととなる。特にドミナントは深刻だ。
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