約1時間後、担当官から折り返しの電話がある。なんと、「取引完了通知を撤回」したのである。担当官によればメルカリの担当者が間違った内容を送ってしまったとのことだった。それを踏まえて次のように事務局に通知した。内容は次のとおりである。

※ 組織名や個人名は●印で非表示にしている。

この時、すでに4月11日(火)の17時をすぎている。自動振り込み期限まで時間が残されていない。そのため、出品者にも「消費者庁に通報した」と通知をした。数時間後、出品者から「キャンセルに応じたい」と連絡があった。商品を返品し確認したら速やかにキャンセル合意をおこないたいとのことであった。12日(水)の早朝に、翌日着として宅急便を送付した。

しかし事態は悪化する。出品者がキャンセル拒否をしたのである。つまり、商品も取られて、債務は残ったままということだ。15日は土曜日でカード会社や銀行は業務をおこなっていない。つまり、14日中になんらかの解決を導き出さないとマズいということだ。はじめて、出品者に対して強硬な姿勢で臨んだ。

その後もやり取りをおこない、4月14日(金)12時までに解決を見ない場合、警察に被害届を提出すること、すでに知人の弁護士に相談していることを伝えた。1時間後、ようやくキャンセル合意が成立した。

なお、出品者が一般人であろうことを踏まえて、個人情報やメルカリ上のハンドルネームなどわかるような情報は一切排除している。

トラブルに巻き込まれたらどうすべきか

今回の潮目は消費者庁通報にあった。しかし、消費者庁はトラブルを解決する機関ではない(消費生活センターも同様)。そのため、事実を端的に伝えて何を依頼したいのか明確にしなければならない。

また、高額商品は慎重になるべきと考える。同様の商品は他ネットサイトでも販売しているが、ストア出店の場合、返金や保証について明確にうたっている。割高になったとしてもそちらを選んだ方が安心ともいえる。

いまの私たちはネットにカード番号入力をすることに抵抗感が希薄になっている。コンビニ決済やATM払いなども併用すべきだろう。

メルカリはネット上のフリマである。フリマの原則に立ちかえれば、売買は自己責任ということになる。規約を読めば、「自分たちは場所を提供しているに過ぎない」というスタンスがよくわかる。しかし、事務局が存在し「解決までお手伝いします」とサポートを示唆することから利用者は過度な期待をしてしまう。

クレジットカードの場合は、コンシュルジュが対応しプロテクトで保証されるが、メルカリはそれではない。利用者が困惑しないように、「場所を提供するだけで責任は負わない」「事務局は事務的なアナウンスのみ」「解決するのは出品者と購入者間でのやり取りのみ」というスタンスをもっと明確にすべきだろう。

メルカリのHPによれば、累計利用者数は約4800万人を突破し、2022年10月には利用者数が2075万人を超している。

つまり、メルカリは社会的インフラとしてすでに定着していると言っても過言ではない。であるならば、上場企業としての社会的責任が求められているはずだ。メルカリの今後の発展に期待するとともに、本記事が利用者にとって何らかの参考になれば幸いである。