チャート:ガソリンと光熱費、食費とそろって減速
(作成:My Big Apple NY)
アトランタ連銀が発表する粘着CPI(帰属家賃や外食、医療サービスなど、変動の鈍い品目に絞って算出したCPI)は、前月まで3カ月連続で前年同月比6.7%上昇を経て、今回は6.6%へ鈍化しました。しかし、住宅関連が押し上げており、住宅を除けば5.3%と2022年5月以来の低い伸びです。パウエルFRB議長を始めFedは住宅を除くコアサービスに注目するなか、住宅以外はゆるやかなペースながら落ち着きつつあります。
チャート:粘着CPI、住宅を除けば鈍化
(作成:My Big Apple NY)
物価が高止まりするなか、実質賃金の伸びを押し下げ続けた。3月の実質平均時給は前年同月比0.7%下落、C’PIにつれ2021年9月以来の小幅な下げにとどまった。生産労働者・非管理職は0.5%上昇し、こちらは2021年3月以来のプラスに転じています。
チャート:実質賃金の下落を続けたものの、下げ幅は小幅ながら再拡大
(作成:My Big Apple NY)
米3月CPIに加え、米3月生産者物価指数は前月比0.5%低下し2020年4月以降で最大の落ち込みを迎えました。エネルギーを中心にインフレの抑制を確認しており、OPECプラスによる追加減産を受けて、WTI原油価格が80ドル付近がフロアになったほか、ガソリン価格の上昇もあって、今後急数カ月は鈍化ペースが限定的となりそうです。ただ、家賃を中心に物価を押し下げる見通し。インフレは着実に緩和しつつあるといえ、FF先物市場が示唆するように年内利下げの余地が広がってきました。

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編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK –」2023年4月14日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。