チャート:CPIの費目別寄与、前月比は引き続きガソリンなどエネルギーが押し下げたものの食品とその他が上昇を主導

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食品とエネルギー以外をみると、モノからサービスへの需要のシフトが指摘される通り、航空運賃と宿泊が高い伸びを記録した。また、自動車保険も高止まり。一方で、帰属家賃や家賃など住宅関連は漸く鈍化の兆しがみえてきた。

家賃は新規契約分でマイナスが続くなか、通常1~2年契約という事情もあってサンプルに足元の動向は反映されづらかったが、当初の予想通り今年の春以降に減速を確認しそうだ。弱含みが顕著な中古車は、9カ月連続で低下した。エネルギー関連と食品・飲料以外で主要な項目の前月比は、以下の通り。

エネルギー関連と食品・飲料以外で主要な項目の前月比は、以下の通り。

(上昇費目)

・航空運賃 4.0%上昇し2カ月連続でプラス、前月は6.4%上昇 ・宿泊 2.7%上昇し4カ月連続でプラス、前月は2.3%の上昇 ・自動車保険 1.2%上昇し15カ月連続で上昇、前月は0.9%上昇

・家賃 0.6%上昇、前月は0.8%上昇し1986年4月以来の高い伸びに並ぶ ・住宅 0.6%上昇、前月は0.8%上昇し1976年7月以来の高い伸びに並ぶ ・帰属家賃 0.5%上昇、前月は0.7%上昇 ・教育サービス 0.2%上昇しプラスのトレンドを維持、前月は0.5%の上昇

・新車 0.4%上昇し23カ月連続で上昇、前月は0.2%上昇 ・自動車メンテナンス/修繕 0.3%上昇、前月は0.2%と11カ月連続で上昇した中で最も小幅 ・服飾 0.3%上昇し5カ月連続で上昇し2021年12月以来の高い伸びを維持、前月は0.8%上昇 ・娯楽 0.1%上昇し15カ月連続で上昇、前月は0.9%の上昇

(横ばい、低下項目)

・中古車 0.9%低下し9ヵ月連続でマイナス、前月は2.8%の低下 ・医療サービス 0.5%低下し3カ月連続でマイナス、前月は0.7%の低下

CPIは前年同月比5.0%と、市場予想の5.2%を下回った。前月の6.0%を下回り2021年5月以来の5%割れに迫った。CPIコアも同5.6%と市場予想通りで、前月の5.5%を上回りつつ2021年12月以来の低水準を維持した。

チャート:CPIの前年比、費目別の寄与は住宅を軸にその他が大きい

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――経済正常化により著しい上昇を遂げた費目を振り返ると、今回は鈍化が優勢となった。航空運賃(前月:26.5%上昇→17.7%上昇)のほか、自動車保険(前月:14.7%→14.5%)が前月の伸びを下回り、中古車(前月:13.6%下落→11.2%下落)は下げ幅を縮小しつつも2桁のマイナス幅を保った。ただし、新車(前月:5.6%→6.1%)のほか、経済正常化の恩恵を受けた宿泊(前月:6.7%→7.3%)は加速した。

チャート:経済活動の再開で上振れが目立った費目、新車と中古車は鈍化も他は高止まり

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CPIの13.5%を占める食品の前年同月比は、鳥インフルエンザによって急騰した卵が元の価格に戻るなかで、肉類・魚・卵(前月:6.7%→4.3%)を始め、シリアル・パン類(前月:14.6%→13.6%)や食費(前月:10.1%→8.3%)なども鈍化した。ただし、外食は賃金上昇圧力を示唆したのか、前月:8.4%→8.8%と2カ月連続で再加速した。

チャート:外食以外、鈍化が鮮明に

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6.9%を占めるエネルギーは前年同月比で6.4%下落し、2021年1月以降のマイナスに反転した。ガソリンは17.4%低下し、過去4カ月間で3回目のマイナスとなっただけでなく、2020年11月以降で最も大きな落ち込みをとなった。公益(電力・ガス)は前月の13.3%から9.2%へ鈍化した。