憲法審査会発言要旨(2023年4月13日)

国民民主党代表 玉木雄一郎

まず、緊急事態において国政選挙が実施できない場合の対応について述べたい。

先週、奥野委員から「立憲民主党は、議員任期延長のための憲法改正に絶対反対ではない」「解釈や法改正でできないことが明らかなれば改憲も当然」との意見表明があったことを評価したい。これまでの議論の中で、繰延投票で対応はできないことは明らかになったと思う。残された論点は、緊急集会の「一時的・臨時的・限界的」な射程が、どこまで伸び得るのかということに収斂されてきたと思う。

前回示した3会派の案は「選挙の一体性が害されるほど広範な地域において国政選挙の適正な実施が70日を超えて困難であることが明らかな場合」に延長を認めることとしており、逆に言うと70日までは緊急集会の活用と棲み分けを明確にしている。

ここで公明党に伺いたい。先日、参議院憲法審査会で御党の議員から、70日を超えても緊急集会で対応せざるを得ない旨の発言があったと承知している。本院でのこれまでの主な議論は、あくまで、緊急集会は、期間限定、かつ、事後的に衆議院の同意がなければ効力を失う臨時のものであり、取り扱える案件も内閣が求めるものに限定されているというものであった。

仮に70日を越えて対応できるとしたらどの程度の期間、どのような案件について対応できると考えているのか、改めて、公明党のご意見を伺いたい。そもそも、衆議院と参議院で意見が異なるのか。

次に、立憲民主党の篠原委員に、前議員の身分復活について伺う。前回「(前議員に)国会(議員)と同じような権能を与えてもいいんじゃないか」と述べ、同時に「全てのことを憲法にきちんと規定しなくちゃいけないというのは理想だ」「安全保障の大事な部分だって、違憲だと思われるようなこともしているわけですから」と述べておられる。これは、選挙ができないような緊急事態においては、違憲だと言われても、前議員に議員と同じ特別な身分を与える法律を作れとの趣旨なのか。

しかし、議員でないものに議員同等の権限を与える立法は、議員任期を定めた憲法45条、46条、国会が唯一の立法機関と定めた憲法41条、参議院の緊急集会による対応を定めた54条2項などに違反する立法になると考える。本当にかかる立法が可能と考えているのか。立憲主義の観点から心配で夜も眠れないので、改めて真意を伺いたい。

次に、新藤幹事から説明のあった自民党の9条改正案について一言、国民民主党の考えを申し上げたい。我々も9条改正案を議論しているが、まず、何のために改正するのか、改正の目的、「憲法事実」についての認識の共有が重要だと考える。

自民党の改憲4項目の解説文書を見ると、①憲法学者や教科書の中に違憲論がある、②共産党が違憲だと言ってるが主な憲法事実と位置付けており、実体的に「~ができないから、~をできるようにしたい」という実体的な目的がない。