マイナンバーカード認証は今後どう利用されるか?
——今回マイナンバーカード認証を使ってできたことから、どのような可能性が見えてきていますか?
松居:今回の渋谷区のような場合、任意の時点で、対象となる特定の区や市に居住しているかの認証として使っていますが、マイナンバーカードに登録されている生年月日の情報を利用したサービスも可能だと考えています。
一定の年齢以上の方に向けた施策のために使う…たとえば、「この時間以降、未成年はこういうお店に入っちゃいけないよ」というような条例がある場合、自動的に入店を制御するようなことができるかもしれません。
——たしかにゲームセンターには22時以降、未成年者が入店できないという条例がありますよね。そういう場面で使えると。
一度マイナンバーを認証しておくと、決済を行う前に必要な判定の部分でも活用できるということですね。
松居:他にも、映画館などで実施されているシニア割のようなものも、店頭で身分証明書を提示しなくても、認証済みのスマホアプリ上で完結させられますね。
とはいえ、「ハチペイ」のように認証の結果、プレミアム付き商品券を購入できるようなユーザー側のベネフィットが組み込まれた仕様ならば良いのですが、単なるユーザー認証のためだけにマイナンバーカードを使用するのはさすがに重すぎるかもしれません。
金融系のサービスでは、一定のKYC、本人確認を行う手続きをとって不正を防止する観点が必要ですが、前払式支払手段においては、KYCまでは不要とされています。
規制で求められる範囲を大きく超えて認証を厳しくすると、利便性が大きく損なわれてしまうことは事実なので、利便性のバランスを取ることは常に重要なポイントになります。
——なるほど。姉妹都市同士で連携して、両方の街でお得に使えるデジタルバリューを発行することもできそうですね。告知と直接的なメリットのセットで届けられるような…。たとえば、ある都市で大きなイベントが催されるときに、その姉妹都市から人を呼び込むようなことを地域通貨の機能を使ってやっていくとか。
松居:はい。そういった構想もあって、いろいろな方々と議論をさせていただいています。今、川崎さんがおっしゃったアイディアなら、pokepayの地域通貨同士の交換機能を利用せずに「Aという街の加盟店でBという街の通貨が使える」といった設定を加える形で、比較的簡単に実現できます。
AまたはBという街に住んでいることを証明するために、マイナンバーカードを利用するというのはあるかもしれないですね。
——それは面白い。