優秀なプロフェッショナルは自分を高められる場所に定着する

「いつでも転職できる。しかし、この環境が自分を高め続けられるから辞める必要がない」というのがやはり本質的なリテンションであり、優秀なプロフェッショナルこそ、仕事自体の内的な報酬を自ら生み出せ、さらには磨ける環境だからこそ、定着するはずです。

では、このようなビズリーチ社のような風土はすべての組織に応用できるのでしょうか。

ポイントは2つあります。

まず1点目として、ビズリーチ社では「内発的な動機付けに喜びを見出す」プロフェッショナルを採用できていたということです。当たり前ですが、内発的な動機付けによってすべての人が活躍、行動するとは限りません。

2点目として、「内発的な動機付けに喜びを見出す」プロフェッショナルを社内で発掘し、タフアサインメントすることです。この方法はどの組織でも、すぐに応用できるので、詳しくご紹介いたします。

組織のエネルギーを高めるのは、要の人材

組織だけでなく、地球全体や社会全体、自然も含めてあらゆるものには「要」が存在します。「要」と、力やエネルギーの発生源になりやすい箇所、循環の中心となる場所などです。

力やエネルギーは「均一」ではなく、ムラや濃度の違いがあり、その違いによって、エネルギーは流れ、循環します。海流や風を思い浮かべていただくとわかりやすいと思います。

組織においても、全体の組織循環や流れ、動きを司るためには、その要所を押さえないといけません。組織における最初の「要所」となるのは、「要となるべき人」です。意図せずとも、「要となるべき人」を中心として組織の循環は起こり続けます。

人の集まりである組織においては、その要となる人は、以下のような感情を持っている人です。

①その人自身の先天的エネルギーが高く、内発的な動機付けに喜びを見出せる人
②他の人のストレスやネガティブな感情を受けても揺るがない人
③自らが発生源、中心点となる在り方に喜びを感じられる人

すべての人を要となりうる人として育成することはできますが、やはり育ちやすい人とそうでない人の差は存在します。人材を社内でしっかりを見極め、成長のために投資をし続けることはとても大切ですし、人材の成長は周りの人や組織風土に直接的に影響を与えます。

同時に、組織風土のエネルギーが高まることで、それについて行けない人、もしくはついて行く意志のない人が自然と離れていきます。さらに、組織風土のエネルギーが高まり続けることで、それに共感・共振する人が自然に集まるはずです。

この連続が、従業員一人ひとりの内発的な動機付けを促進し、いきいきとした職場へと結びつき、さらには人材の定着につながります。

<著者プロフィール>

黒澤伶
株式会社ITSUDATSU
代表取締役

早稲田大学人間科学部卒。デル株式会社(現:デル・テクノロジーズ株式会社)、株式会社ビズリーチ(現:ビジョナル株式会社)、コーチングファーム取締役を経て、株式会社ITSUDATSUを創業。「ITSUDATSU(非直線的な現象)を再現性の高い世の中にする」という大義の下、要人材を起点とした独自の組織活性方法で累計300以上のプロジェクトを推進。現在、複数社の取締役CHRO(非常勤)を歴任。