目的、ゴールを擦り合わせていないケースは2割も

契約形態に関わらず、トラブルが起きる原因を探るべく、次に「プロジェクトマネジメントに必要な行動をどのくらい取っているか」を調べました。

ここで注目するべきは「目的やゴール、課題などの共有」を常に行っている企業担当者や外部人材が全体の2割程度しかいないという点です。

プロジェクトを進める上で最も重要なのは「何のためにするのか」ということ。この点で見解に相違があると、不測の事態が起きた時に「やってくれと言った覚えはない」「やると言ったつもりはない」など、報酬の支払いや契約継続に影響を及ぼすトラブルに発展する恐れがあります。

たとえ相手が信頼できる知り合いだとしても、契約行為は最終的には会社の意向であり、責任を伴うものです。

口約束や前提条件を確認せずに仕事を契約するのではなく、目的やゴール、コミュニケーション頻度や方法についてしっかり確認することが重要です。

プロジェクトマネジメント能力を高めよう

さらにこの結果では、企業担当者の行動と外部人材の行動に差があることが分かります。

企業担当者が、プロジェクトマネジメントのために行っている項目が多い傾向です。外部人材は依頼者が気にしているポイントを認識して、相手が社内で仕事を進めやすいように確認や報告を心がけるなどの工夫をする必要があるかもしれません。

「この人とは仕事が進めやすい」「この人と仕事をすれば社内での評価も高まる」と思ってもらえれば、次の仕事にも繋がっていく可能性が高まるでしょう。

こうした仕事の進め方は、外部人材に限らず全てのビジネスパーソンにとっても重要なポイントです。社内外で情報の非対称性が生まれる分、外部から入る場合の難易度はより高くなります。

今後、副業や独立を目指す人は、社内の仕事でもプロジェクトマネジメント能力を高めることを意識することで、どんな人とも仕事がしやすくなっていくと思います。

<著者プロフィール>

福田悠
株式会社サーキュレーション取締役
プロシェアリング本部長

中央大学理工学部を卒業後、大手総合人材サービス企業へ入社。
製造業を中心とした約600社の人材採用を支援。大手法人顧客専属部門を経て、同社初となる社内ベンチャーの立ち上げに携わる。
2014年、サーキュレーションの創業に参画。
中小企業や製造業大手顧客を担当しながら、地方金融機関とのアライアンス、地方7拠点の設立を主導。
オープンイノベーションコンサルタントのプロフェッショナルとしてレガシーマーケットの変革を志し、プロシェアリング本部を管掌。