2〜3日絶食しても脳内の血糖値は変わらない

有馬佳代氏の著書『ビジネスエリートがやっている最高の食習慣(自由国民社 2022)』によると、人間は食後数時間経つと血糖を節約して脂肪でエネルギーを作りはじめるという。

また人は体内の血糖値の上下にかかわらず、脳内の血糖値を一定に保つBBB(brain-blood barrierの略)という仕組みがある。そのため『2〜3日絶食しても脳内の血糖値は変わらないので脳のエネルギー切れは起こらないし、脳機能は維持されます』と先程の著書で説く。

つまり病気をもっている人やプロのアスリートなど一部の例外を除き、昼食をたとえ食べなかったとしても脳のエネルギー不足は起きないのだ。だからこそ南雲氏は昼食を食べなくていい、食べるとしても少量ですませることを提唱しているのだ。

昼食は食べなくてもいいし、食べるとしても少量で十分。このことを理解すると昼食の選択肢としてコンビニ弁当や外食以外のものが見えてくる。メニューによっては昼食代の支出を大胆に抑えることができる。

ちなみに筆者の昼食代は1回あたり60円だ。どんな食べ物を昼食に選んだらいいのか。引き続き考えてみたい。

低GI食を選ぶための3つのポイント

まず心がけたいことは糖質が急激に上がらない=低GIの食事をとることだ。

どうやってGIの高低を判別したらいいのか。西剛志氏は先程紹介した著書で以下の3つをポイントとして掲げている。

(1)甘すぎるものは要注意 (2)炭水化物は白い食べ物より黒い食べ物を選ぶ (3)食物繊維が多いものを選ぶ

(1)の理由は甘さのほとんどがブドウ糖に起因するからだ。砂糖をそのまま原料に使ったお菓子や甘すぎる果物もそれだけたくさんの糖質を含む。甘いものを多く食べると血糖値が急上昇するので注意が必要となる。

(2)の理由は黒いほうがGI値が低くなるからだ。同じ米でも白米より茶色の玄米のほうがGI値は低くなる。また黒いほうが食物繊維を多く含む。食物繊維は糖の消化吸収をゆるやかにするので血糖値の上昇もゆるやかになる。

(3)については同じ果物でもりんごやいちごはメロンやスイカと比べると食物繊維は多く、またGI値も低くなる。食物繊維が多いとされる野菜の中でもいも類は高GIとなる。同じ食べ物でも食物繊維が多いものを選ぶと良い。

何をどれくらい食べるのがベストかは人によって異なる。なので上記を参考に自分に合う食事を探してほしい。

ちなみに筆者も昔は上司や同僚と昼食をガッツリ食べていた。しかし今では昼食にオートミールをよく食べている。

オートミールはアメリカの伝統的な朝食メニューだ。有馬佳代氏の先程の書籍によれば食物繊維が玄米の3倍・米の19倍あり、現代人が不足しがちなミネラルが豊富なスーパーフードとされている。

昼食をオートミールですませるとコンビニ弁当や外食と比べると金銭的な支出もずいぶんと減る。先日スーパーで市販のものを購入すると税込300円だった。一袋でおよそ5回食べられるとして1回あたりの昼食代は60円になる。

オートミールはもちろん一つの例にすぎない。しかし仕事のパフォーマンスを軸に昼食を考えると昼食の支出を大胆に減らせるイメージが少しは掴めたのではないだろうか。

理にかなっているとはいえ、南雲氏のように昼食を食べるなとまで言うつもりはない。筆者もそこまではしていない。昼食を食べることが何よりの楽しみという人もいるだろう。

まずは昼食をできるだけ軽く・控えめにすませることからはじめてみてほしい。筆者も長い期間を経て今の形にたどりついた。あなたにとって仕事にもお財布にもベストな、最適な昼食が見つかることを祈ってやまない。

滝川 徹(タスク管理の専門家) 1982年東京生まれ。慶應義塾大学卒業後、内資トップの大手金融機関に勤務。長時間労働に悩んだことをきっかけに独学でタスク管理を習得。2014年に自身が所属する組織の残業を削減した取り組みが全国で表彰される。2016年には「残業ゼロ」の働き方を達成。その体験を出版した『気持ちが楽になる働き方 33歳大企業サラリーマン、長時間労働をやめる。』(金風舎)はAmazon1位2部門を獲得。2018年に順天堂大学で講演を行うなど、現在は講演やセミナー活動を中心に個人事業主としても活動している。

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編集部より:この記事は「シェアーズカフェ・オンライン」2023年4月11日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はシェアーズカフェ・オンラインをご覧ください。